『シンデレラ』のアニメと実写の違い3つ

『シンデレラ』は健気に頑張っていた主人公が王子に見初められて幸せになるという王道のストーリーだ。たとえ今は苦しくてもずっと耐え忍んでいればいつか幸せになれるというのは夢のある話だと思う。現代でもシンデレラと名のつくものはたくさんある。

 

苦労して成功した人のことを「シンデレラガール」「シンデレラボーイ」「シンデレラおじさん」という。通常より小さな靴のサイズを「シンデレラサイズ」と呼ぶ。身長(m)×身長(m)×18で算出する体重のことを「シンデレラ体重」という。

 

これだけ一つの童話である「シンデレラ」がさまざまな言葉に使われているってすごいと思う。小さい靴のサイズを示すなんて、シンデレラが国中の娘の誰にも履けなかったガラスの靴を履くことができたというエピソードを知らなければ意味がわからない。

 

それほどに知名度のある『シンデレラ』が2015年にディズニーで実写化された。ディズニーアニメの『シンデレラ』は1950年に作られた。65年前とは男女のジェンダー観も変わっているし、現代のシンデレラがどのように表現されるのかを楽しみに視聴した。

 

大元のストーリーは変わらないが、登場人物の描写がアニメと実写では少し違っている。これからそれをざっくり3つ挙げていく。『シンデレラ』のアニメと実写の違いの1つ目は王子とシンデレラの出会いである。

 

アニメでは王子は舞踏会で初めてシンデレラと出会いひとめぼれして、ガラスの靴が合う娘を探しまわる。一方実写ではシンデレラと王子は舞踏会の前に森の中で既に出会っており、王子がもう一度会いたくて国中の娘を舞踏会に招待する。そして舞踏会でシンデレラと再会した王子は王族と結婚した方がいいという周囲の意見を振り切ってシンデレラと結婚することを決意し、ガラスの靴が合う娘を探しに行く。

 

アニメの王子はシンデレラの見た目だけで結婚を決める軽い奴という印象だった。ほとんど王子についての描写がなかったのも原因だと思うが。だが実写の王子は自分の意志でシンデレラとの結婚を望んだ男で誠実な印象だった。ひとめぼれしたのでなく再会して結婚を決めるというのにも説得力があった。

 

違いの2つ目は「シンデレラ」の名前の由来である。アニメでは初めから、シンデレラと呼ばれていた。実写ではエラの顔に灰がついているのを見た姉2人が灰かぶり呼ばわりし、cinders(灰)+エラでシンデレラと名付ける。からかうためにつけられた名前なのでシンデレラと呼ばれることはエラにとっていやがらせである。

 

違いの3つ目は継母が割るガラスの靴である。アニメでは継母は王子が持ってきた靴を履かせないようにするため従者に足をひっかけて靴を割ったが、シンデレラは王子の前に現れ持ち帰っていたガラスの靴を履いてみせる。一方実写では自分と娘を王子に取り入らせるのに協力しようとしないことに怒って、継母はエラの持ち帰った靴を壁に叩きつけて割ってしまった。だが王子が持ってきたガラスの靴があったためエラはそれを履いて求婚を受ける。

 

アニメの継母は王子が来る直前までシンデレラの持っているガラスの靴にさえ気づいていなかったが、実写の継母はエラの様子をよく見ており舞踏会で王子と会っていたことにも感づいていた。エラのことを嫌って注意深く観察していたからこそエラの持っていた靴に気づいたのだろうと思う。

 

アニメでは継母がなぜシンデレラをいじめるのかよく理由がわからなかったが、実写では「お前が若くて素直でいい子だからだ」と言い切っていた。正論ばかりいう人と付き合うのはしんどいので、継母の気持ちもちょっとわかる。ガラスの靴を自分で叩き割るシーンにシンデレラを憎む気持ちがよく表れていると思った。

 

以上ざっくり3つの違いをあげてみた。細かくいえばもっとある。実写では王子と継母の描写が増えたので、物語により深みが増した感じ。他にも映像技術がすごく、かぼちゃの馬車とガラスの靴がリアルできれいだったり、エラのふわっとした青いドレスが舞踏会で目立っていたり実写ならではのよさがあった。

 

アニメでは友達のねずみたちが可愛かった。話し相手になりシンデレラのためにドレスを作ったり、鍵を運んで閉じ込められたシンデレラを救出したりしたシーンを覚えている。「サッシュを結んで~リボンつけて~」と歌いながらどんどんドレスが出来上がっていくシーンがかなり好き。アニメにはアニメのよさがある。

 

『シンデレラ』はアニメも実写もかなりおもしろい。いい人は幸せになって悪い人は報いを受けるという王道のストーリーも長く愛される理由だと思う。最近の王子が必要とされないプリンセスストーリーも好きだが、王子の助けで幸せを勝ち取るというシンデレラも悪くない。