転勤はなんのため

就活中に求人を見ていたとき自分が1番気にしていたのか勤務地と転勤の有無である。これが条件に当てはまらない限り、どんなに他の条件がよくても即除外である。これはかなり重要なことなのに下の方にちょこっと書いてあるだけの求人サイトが多いのにはイライラした。地域指定や転勤なしで絞り込んでも条件にあてはまらない求人も表示されるのはいったいなぜなのか。


まあそれは置いといて、求人サイトを見ていて驚くのは転勤のない仕事の少なさだ。大企業の総合職なら全国転勤からは逃れられず、地域限定職なら決まったエリア内で転勤させられる。それなら中小企業だったら転勤はないのかというとそうでもない。営業所が各地にあったり海外と取引があったりする企業だと転勤させられる。


公務員でも国家公務員や自衛隊職員は全国転勤だし、県職員や教員や警察官は県内転勤あり。転勤がないのは支所がないくらい狭い市町村の職員くらいである。


なぜこんなにも転勤をさせるのだろうか。いろんな経験をさせて人材を育成するためだとよく言われるが本当にそうなのだろうか。


半沢直樹の世界だと転勤はその人の評価によって左右される。成果を出せば希望の部署に行けるが、問題を起こせば子会社に出向させられる。この世界での転勤は明らかに人材を育成する目的ではない。


警察官や銀行員などの転勤は癒着による不正行為を防止するためにやっているとか。転勤くらいで不正を防止できるのかは疑問だが、転勤することで仕事においての人間関係は変わるはすだ。まあやらないよりはやったほうがいいのだろう。


一般企業では技術営業職を育てるために、工場がある地方で働いてから5年後に東京に行ってもらうという求人があった。こういう理由なら転勤があるのにもうなずける。あとは別の工場で働いていた人に新しくできた工場に行ってもらうとか。新しい工場なら現地で新たに人を雇えばいいじゃないと思うが、指示を出す立場の人は自社の工場で働いた経験のある人のほうが安心できる。また新しく人を雇うよりも既に雇っている人を転勤させるほうがコストがかからない場合もある。


雇う側は労働者を転勤させるために、まあまあの費用を負担している。交通費に引っ越し代に家賃補助。数年の転勤で元の場所に戻ってくる予定なら、転勤先と合わせて2箇所の家賃が必要になる。転勤先の布団代を補助することも。自分の知る限りでは大企業も中小企業も転勤する人のためにかなりのお金を支払っている。それだけのことをするということは転勤にそれに見合うだけのメリットがあるのだろう。


転勤させられる立場からすれば、転勤はデメリットだらけである。転勤先ではまた新しく仕事を覚えなければならないし、引っ越しの準備や片づけをするのがめんどうくさい。マイホームを買っていたり子どもが転校を嫌がったりするならなおさらだ。仕事のマンネリ回避や会社の金を使って旅行ができるというふうにプラスに考えられないこともないが。わざわざ転勤しなくても担当する仕事のローテーションや出張でマンネリは防げるし、転勤より普通に旅行したほうが楽しい。


雇う側からすれば自分には想像できない転勤のメリットがもっとあるのかもしれないが、やっぱり転勤はしたくない。転勤しなくてもよい求人が増えることを望む。