賃貸物件を借りるのに未知の費用がかかりすぎる問題

賃貸物件を探しているのだが、民間の不動産会社に初期費用の見積もりをもらったところ予想外にお金がかかるのに驚いた。別に賃貸物件に住むのが初めてというわけではない。大学生のときに大学生協で申し込んだマンションに住んでいたので家賃以外に敷金、礼金、管理費(共益費)、駐車場代がかかることくらいは知っている。まあこのときは敷金礼金0円だったが。今回の見積もりでは初めて聞いた費用が大量に追加されていた。


まず仲介手数料。大学生協では0円だった。民間なので多少取られることは覚悟していたが、家賃の1ヶ月ぶんも請求されるとは思わなかった。高すぎないか。最近は物件をネットで探してから不動産会社に連絡をとるので、仲介会社がやることといえばサイトの更新と内見の付き添いくらいである。ちなみに宅地建物取引法で仲介手数料はオーナーと借り主合わせて家賃の1ヶ月ぶんが限度であり、承諾を得ているとき以外は一方から取れるのは0.5 ヶ月ぶんが限度とされている。なのにほとんどの大手不動産会社はそんな法律があることは知らせずあたりまえのような顔で1ヶ月ぶん取ろうとしてくる。ひどいもんだ。


家賃保証会社利用料というものは初めて知った。これは借り主が家賃保証会社に支払うお金のことである。なぜオーナーや管理会社が定期的に家賃を受け取るための保険に借り主が100%金を出さないといけないのか。借りる側は余分に金を出すうえに家賃の取り立てに来られる危険に怯えるとデメリットしかない。しかも初回に家賃の50%、毎月家賃の1%、更新料が毎年1万円と金額も高い。なかにはもっと高い保証会社もある。


家賃が入ってこないのが心配なら1年分前払いにして退去時に返金するようにすればいいのに。それができない人だけ家賃保証会社に入ってもらえばいい。そもそも家賃を払わない人はとっとと追い出してしまえばいいのだ。電気だって水道だって金を払わなければ止められる。法律で借り主は守られているといっても、契約書にはっきり書かれており双方が同意しているなら有効になるのではないか。不動産会社は特約ということで余分な費用を盛り込んだ契約書を作り、それにハンコを押していたら同意ということにしてお金をとりまくっているんだから。


法律のせいでオーナーや管理会社が家賃を滞納している人を追い出すことが困難になっているのなら、さっさと法改正してほしい。家賃滞納の不足分を補うために家賃が値上げされたりすることもあるので、家賃滞納者は貸主だけでなくちゃんと家賃を払っている借り主からみても迷惑である。一部の悪質な家賃滞納者のために借り主全員が家賃保証会社に入ることを求められるようになったらしいし。借り主が3ヶ月以上の滞納があるのに払わず留まり続けようとする場合は、敷金を使って鍵交換して引っ越し業者に荷物を運び出してもらい、強制退去させられるようにすればいいと思う。


お金があるのに家賃を払おうとしない人は厳しく取り締まるべきだが、健康上の理由で働けないとか働いても給料が安すぎて家賃を払えないという人もいる。そういう人たちをホームレスにしないために公営住宅がある。だが公営住宅は不足しており地域によっては100倍以上の倍率だとか。足りない公営住宅を補うために公務員宿舎を貸し出すとか、増えている空き家を管理することと引き換えに格安で住めるようにするとか対応が必要だと思う。


大学生のときは鍵交換手数料やクリーニング費用を請求されることはなかった。入居したらすぐに部屋にカーペットを敷き、出ていくときに水回りも含めしっかりと掃除したので、敷金0円だったが退去時費用は1円も請求されなかった。だが今回の初期費用の見積もりでは鍵交換手数料とクリーニング費が上乗せされていた。国土交通省ガイドラインではどちらも貸主が払うべきとなっているのに。ちなみに原状回復の費用で借り主の負担となるのは故意や過失で傷つけたところのみとなっている。


更新の事務手数料が1万円かかるというのも初耳だった。事務手数料ってなに?賃貸契約をそのまま継続するのなら契約書の日付を変えるだけであり、そんなに費用も手間もかかるとは思えない。それに古くなった賃貸物件に同じ家賃で住み続けてくれることは貸主にとってメリットではないのか。マナーが悪くご近所トラブルが絶えない借り主は別かもしれないが。そうでないなら新しく借り主を探すほうが面倒な気がする。空室率が低い物件でも入居者回転率が高い物件のオーナーは部屋の原状回復費用や仲介手数料で損をするので厳しいと聞いたことがあるし。


民間の不動産会社の評判を見ていると、不必要なオプションサービスに強制加入させられたとか、入居後に設備が壊れて連絡してもなかなか対応してくれないとか、退去時に原状回復費用として高額の請求をされたとか悪質なものばかりで気分が悪くなる。賃貸物件を探すのは楽しかったが不動産会社選びと費用の交渉が超ストレス。


どこかに良心的な不動産会社はないのかと検索しまくっていたところ、国土交通省所管の独立行政法人都市開再生機構が管理しているUR賃貸住宅の存在を知る。UR賃貸住宅礼金・仲介手数料・更新料・保証人ナシで、収入が家賃の4倍あるか貯金が家賃の100倍あるなら家賃保証会社に金を払う必要もなく契約できる。さらに年単位で家賃を前払いすれば割引までしてくれるらしい。めっちゃいいと思ってさっそく探してみたが自分の住む地方にUR賃貸物件は一件もなかった。田舎にもUR賃貸住宅がはやく広がってほしい。


賃貸物件の費用についてはもっと細かいところまで法律できっちり定めてほしいと思う。借り主に有利なのは家賃滞納したときに追い出されにくいくらいで、それ以外はまだまだ貸主が有利である。賃貸物件から別の賃貸物件に住み替えるときに、新居を決めてから旧居の解約をすると必ず二重家賃を払わないといけなくなるというのもおかしい。解約予告は1ヶ月前じゃないといけないのに申込みしてから家賃発生するのは2週間後って…それなら解約予告するのを2週間前でOKにするか、家賃発生する日を1ヶ月後にするかのどちらかに法律で統一してほしい。


現状ではガイドラインは法律ではないんだからと全く従う気のない不動産会社ばかりである。法律に反してなければなにをしてもいいとでも思っているのか。不動産会社どうしで協定でも結んでいるのか、見積もりも示し合わせたかのように同じ項目を並べていたりする。みんなが請求している費用だからと当然のように金を奪おうとしてくるのはやめてほしい。慣習だからってガイドラインより優先されていいはずがない。そもそも家賃保証会社なんて昔はなかった。みんな払っていると不動産会社に都合のいい常識を作られてしまうのが怖い。賃貸物件は持ち家のないすべての人は契約せざるを得ないものであり、生活にも深く関わっている。一日でも早く真っ当な借り主が守られるような法律が作られることを望む。