『ゴーストバスターズ』は1984年のオリジナル版より2016年のリブート版のほうがおもしろい

テレビ放映されていた『ゴーストバスターズ』2016年のリブート版を見た。もともとリブート版だということを知らずに見てかなりおもしろかったので、1984年のオリジナル版も見てみたいと思ってレンタルする。そしたらびっくりするほどつまらなかった。


リブート版は116分という時間を気にすることなく一気に見られたのに、オリジナル版は105分の間に退屈になって何度も時計の針を見た。続編が作られたのが信じられない。よかったのは音楽とロゴとマシュマロマンのデザインだけ。


オリジナル版は研究費を打ち切られ大学を追い出された主人公と仲間たちが幽霊退治を行う会社を立ち上げるのはいいが、いつのまにか仕事が増えメディアで取り上げられ市民から応援されラスボスを倒しヒロインとキスして英雄になると苦労もなくうまくいきすぎ。ヒロインといい感じになるのも主人公が決死の思いで体をはって助けたのならまだわかるが、破壊の神ゴーザに憑りつかれ獣姿になったヒロインにイチかバチかでビーム打ったらなぜか生還したというだけ。意識がなかったため主人公に助けられたと思っているヒロインにあなた騙されてますよと言ってあげたい。


しかも主人公の性格が悪すぎて全く応援できない。透視実験に参加した女性をえこひいきし男性には電気ショックを与える、女性依頼人の部屋で仕事中に彼女を口説く、幽霊退治でホテルを壊しまくり5000ドル払わないと幽霊を解放すると依頼人を脅す、しっかりものの女性事務員を2週間以上休みなしでこき使う、霊に憑りつかれ意識ない女性依頼人の首元にキス、自分たちを疑う環境保護局長にタマナシと暴言を吐く、マシュマロンに追い詰められたらオスだから女を抱かせようとか下ネタを連発するなど。仲間の2人や人手不足で雇われた黒人男性は悪いやつではなさそうだが影が薄すぎる。環境局長に電源を切られて爆発して逃げ出したゴーストたちは放置でいいのか。急に破壊の神ゴーザとか出てくるし、なぜかビームを交差させるだけでやっつけられるしストーリーも意味不明。


リブート版は物理学者の主人公エリンが大学での正規雇用を得るために過去にゴーストの本を書いたことを隠そうとしていたが、幽霊はいると発言した動画が拡散して大学を追い出されてしまう。そしてゴーストの本を共同執筆した昔の相棒アビー、研究仲間のホルツマンと一緒に幽霊退治の会社を立ち上げ、依頼人だった黒人パティもメンバーに加わる。


そこからライブ会場でゴーストを捕まえたり、自分がいじめられていた世界に復讐するためゴーストを集めた奴を止めようとしたり。最後は彼女たちがニューヨークを救ったことが市民に知らされることはなかったが、活動資金をもらえることになり、LOVE GBの夜景で市民からの感謝を知るハッピーエンド。ヒーローとして褒め称えられるよりいい終わり方だと思った。


リブート版ではインチキだと疑われたり、市民の混乱を防ぐために市長から幽霊のことを公にしないように言われたりと、苦労しながらも活動を広げていくという過程がしっかり描かれている。ロゴは地下鉄のラクガキから。車はパティが持ってきた叔父さんの霊柩車を改造。ゴースト退治の武器はホルツが開発。


仲間たち含めて4人とも名前を覚えられるくらい印象に残っているし、エリンとアビーの友情もいい。エリンは目の保養といってケヴィンの採用に賛成する残念さがあるが、市長を説得して街を守ろうとしたり、危険を冒してアビーを助けに飛び込んだりいいやつ。アビーはゴースト研究に積極的でホルツとエリンを誘う。乗り移られて首が180度ぐるっとは怖かった。ホルツは二丁ビームガンで無双するところが最高にかっこいい。パティは取りつかれたアビーを抑えながら落ちそうなホルツを引き上げ、ビンタで霊を追い出すというメンバー1番の肉体派。ケヴィンはパクリイラスト持ってくるわ電話とらないわ人質になるわのイラっとするマスコット枠。


幽霊退治の武器はレーザーで霊を捕まえたり、吸い込んでシュレッダーのように粉砕したり、グローブからレーザー弾を撃ったり、手りゅう弾投げたり、バラエティに富んでいる。特に武闘派じゃない女たちがメカを使いチームで街を守るというのがいい。


ギャグがちょこちょこ笑える。ライブ会場の支配人は霊が逃げ出す叫び声という前フリからの貴重なものを壊されキャーーーー、武器にふりまわされる仲間を見ながら空気のぬけていく風船のものまねみたい、世界をめちゃくちゃにしようとしている奴を説得しようとして今の世界のいい所がスープしか思いつかない、市長を呼びにきてあせってガラス窓から入ろうとしているのを見て引き戸と勘違いしているのね、示し合わせたわけでもないのに4人で股間を一斉射撃、1台しかない霊柩車に死体をパンケーキみたいに重ねろってか。


リメイク版やリブート版を見るとオリジナル版のほうがよかったと思うことが多いが、『ゴーストバスターズ』においては圧倒的にリブート版のほうがおもしろかった。また昔の作品の焼き直しかと偏見を持つことなくリメイク版やリブート版も見てみようと思った。