フォトウェディングの撮影本番

ついにフォトウェディングの撮影日がきた。ヘアメイクは現地でやるので、髪には何もつけずノーメイクで来てくださいとのこと。顔を洗って髪をとかし、忘れ物にだけ気をつけて会場に向かう。


撮影に必要なものはかなり前から準備して1つのバッグにまとめていたため、忘れることはなかったが、冷蔵庫に準備していたお茶をうっかり忘れてしまった。そのことに家を出て10分後に気づきあわてたが、近くのドラッグストアで購入し事なきを得る。


到着したら控え室でスタッフにヘアメイクをしてもらう。髪型は洋装はシニヨン、和装は編み込み、メイクは濃すぎずナチュラルな感じに、と事前に希望をしっかり伝えていたので、かなりイメージどおりにセットしてもらえた。


新郎のヘアメイクは5000円払ってオプションでつけたのだが、初めに1回セットしただけで和装から洋装になってもそのままだったのが少し残念だった。ヘアメイクの時間も新婦と比べたらめちゃくちゃ短いし。まあ短髪だからあまり髪型のバリエーションがないのかもしれないが。


それに比べて基本プランに含まれている新婦のヘアメイクは、衣装チェンジするたびにやり直してくれるという充実っぷり。和装から洋装に着替える時はヘアメイクを直してもらえることは知っていたが、ウエディングドレスからカラードレスに着替える時にも直してもらえるとは思ってなかった。


だからどんな髪型にするか事前に考えてなかったのだが、スタッフの人が髪型の案を2つ出して選ばせれてくれた。自分では思いつかなかったので、やっぱりプロは違うと思った。持ち込みした髪かざりもいい感じに使ってもらえてよかった。


ヘアメイクと衣装のセットが完了したらいよいよ撮影開始だ。あいにくその日の天気は雨。だが撮影場所は屋内のスタジオとチャペルなのでなんの問題もない。スタジオは6角形でそれぞれの辺に異なる背景やアイテムが配置されている。チャペルは実際の結婚式にも使われている。


撮影するときにはカメラマンとヘアメイクのスタッフ2人がついてくれる。ヘアメイクのスタッフがスマホを預けると写真を撮ってくれると言うので、スマホを預けた。和装→洋装の順に撮影する。



1着目 色打掛&袴でスタジオ撮影


色打掛はぱっと見帯が見えないのでつけてないのかと思っていたら、中で帯を締めてその上に色打掛を羽織っていることがわかった。なるほど、写真で見た色打掛の背中のふくらみは帯だったのか。一番外の色打掛だけを脱ぐと、真っ白なよくある感じの着物と同じシルエットになる。この状態が白無垢っぽいなと思ってスマホで写真を撮っておいた。


帯は内側で見えないから適当に巻きつけるのかなと思っていたら、成人式の振り袖の着付けなんかと同じようにきっちりしていた。紐でしっかり締めて、帯も背中側にきれいな結び目を作り、帯締めまで付ける。その上に布団のような重さの色打掛を羽織るわけだから、想像よりもずっと窮屈で胸骨と肋骨が痛かった。


スタジオまでは裾を持ち上げながら足を開きすぎないようにして移動する。さっそく撮影が始まり、言われるがままに視線を変えたり首を預けたりしながらいろいろポーズを決めていく。すると立っているのがだんだん気持ち悪くなってきてしまった。


ちょっと我慢できるレベルを超えたので、そのことをスタッフに伝えてしばらく椅子に座って休んだ。スタッフが持ってきてくれたストローつきのコップの冷えた水がよかったのか、しばらく座って飲んでいたら回復した。


その後、撮影を再開する。だがしばらくするとまた気持ち悪くなってしまい座って休むというのを2回繰り返した。ドレスのときはなんともなかったので、たぶん色打掛の締め付けがきつくて貧血のようになってしまったのだろうと思う。


立っている時間が長いと気持ち悪くなってしまうので、次は正座で撮影することに。足袋を履いたまま正座したら指の間に足袋がくい込んで痛かったので、半分脱いでから正座し直した。正座では気持ち悪くなることもなく、じっくりと撮影することができた。


「表情が暗いと土下座させられてるようになっちゃうからとびっきりの笑顔で!」というカメラマンのアドバイスがおもしろかった。撮った写真を見せてもらうと、金の屏風のような背景と和服の組み合わせのためか正座が様になっていた。扇子や和傘など和の小物も使って撮影した。


最後にジャンプの撮影をする。ジャンプは色打掛の重さと草履では飛びにくいということでパートナーだけが飛ぶことに。自分は引っ張られて浮いている感じを出すだけ。つま先立ちになって手を肩上まで上げたり、顔を傾けたりしながら何枚も撮っていたらいい感じに撮影できた。



2着目 ウェディングドレス&タキシードでチャペル撮影


スタジオから控え室に戻って色打掛を脱いだ時の解放感がすごかった。ドレスの下にはドレスインナーを付けるので多少は締め付けられるのだが、和服の帯の締付けとは比べ物にならない。ドレスって楽だと感じた。


ベールはすっぽり顔が隠れるようにかぶるものなのかと思っていたら、あまり顔にかからないように後頭部につける方法もあると聞いたのでそうした。こっちのほうが撮影では邪魔にならないし、セットしてもらった髪型がよく見える。


着替えとヘアメイクが終わったら、チャペルに移動してブーケを選ぶ。ついさっきまで結婚式をしていたカップルを目撃した。ブーケは人気があるという白っぽいものを選んだ。


まずは立ち姿、横向き、振り返って見るとか。ウェディングドレスは上に巻きつけるオーバースカート付きだったので、ドレスのスカートの後ろ部分か華やかになっており振り返るポーズが写真映えした。


次は高い金をだして買った結婚指輪を使って指輪交換とプロポーズ風の写真を撮る。指輪交換する時はもう片方の手を添えるときれいに見えるということで、手の形を意識していたら指輪をなかなか指に入れられなかったりした。


プロポーズ風は片膝をついて指輪の箱を差し出すパートナーを腰をかがめて見るという構図。自然な表情とポーズを作るのが難しく、完成写真はシルエットになった。


新郎が新婦に靴を履かせる構図は自分は椅子に座って足を組むだけで楽だし、貴族気分になれて楽しかったのだが、パートナーは片膝でバランスが取りづらかったのかちょっとフラフラしていた。


次はリフトだ。パートナーに自分を持ち上げてもらい、ドレスの裾がふわっと浮いている写真を撮りたかったのだ。だが残念ながらパートナーが持ち上げるのが無理そうだったのであきらめた。ちょっとがっかり。自分の体重はここ最近では最低レベルに落としていたから期待していたのだが。


持ち上げる練習もしたことないし、パートナーは全く鍛えてないので仕方がない。まあドレスって滑るから難易度高いし。代わりに自分が椅子の上に立って下の方を写さないようにし、リフトしている感じを出すというやり方に。スタッフがドレスの裾をふわっと持ち上げてくれたのでそれなりの写真は撮ることができた。


ドレスの裾がいい感じに浮いているように見える写真にスタッフの手が写っていたのだが、カメラマンが手は消せますと言ったのが衝撃だった。手の裏の背景はどうするのかというと、近くの背景をコピーして貼り付けるらしい。なるほど、この方法を使えば人間も消せるのだな。


色打掛ではできなかった2人で同時にジャンプする写真も撮った。ドレスとパンプスではけっこう高くジャンプすることができた。



3着目 カラードレス&タキシードでスタジオ撮影


ウェディングドレスからカラードレスへの着替えはインナーそのままなので速攻で終わる。ヘアメイクは持ってきた髪飾りをメインで使って、夜会巻きのようにアップにし、前髪の流し方も変えてもらった。


着替えとヘアメイクが終わったら、スタジオに移動。色打掛のときはシンプルな背景で撮影したが、カラードレスはガーデンやススキ野原に見えるような、小物が充実した立体感のある背景で撮ったので楽しかった。


窓を開けて外にある木や植物も含めてのスタジオなのはすごいと思った。階段や窓もあるし、完成した写真だけを見たらスタジオで撮ったとは思えない。白い布がところどころ垂れ下がっている空間もおもしろい。


まずは立ち姿から。斜め上を見上げたり、振り返って足元を見たり、後ろで手を組んだり、髪飾りを触ったり。ちょっと撮影に慣れてきたのか自然に笑えるようになってきた。


そして順番にやりたいポーズをやっていく。
2人でベンチに座って足を組み頬杖をついたり、階段を登るときにドレスの裾をもったり、背中合わせで座ったり、窓際に腰掛けたり。


座るとドレスの裾が広がってきれいに見えるのがよかった。床に座った時のドレスが広がって丸く見える写真がお気に入り。


最後にドレスを広げてその上に寝ころぶ構図を撮る。床に寝転がって目をつぶっていたらリラックスして眠りそうだった。たまには家の布団以外の場所で寝ころぶのもいいな。



以上、フォトウェディングの撮影終了。髪飾りを外してメイクを簡単に落とし、普段着に着替える。時間は18時すぎ。予定よりは1時間くらい早く終わったが、11時から始めたので7時間はかかったことになる。


撮影中はカメラマンの指示がとても細かかった。立ち位置はちょっと右、視線はもうちょっと左、あごをもっと引いて、指は自然に曲げて、もっと笑顔で、背筋を伸ばして、など。襟元やドレスの裾の位置など細かい所にも気を使うのがすごい。事前に渡していた撮影指示書をよく見てくれていたのが好印象だった。


プロに撮影してもらったのは初めてだったが、けっこう楽しかった。笑うために口角をあげ続けていると頬が痙攣して、表情筋の筋力不足を痛感した。最後のほうは緊張がとけてリラックスして笑えていた気がするので、気持ちの問題かもしれない。


それから3週間後、写真データが届く。


ヘアメイクのスタッフがスマホで撮ってくれた写真もリラックスできていたためか、いい写真が撮れていた。ジャンプの写真ではタイミングはばっちりなのにぶれているものが。


このタイミングできれいに撮ったカメラマンの写真が欲しかった。少し残念。だけどカメラマンの写真はスマホの写真よりも、スタジオのセットがきれいに見えるし、顔も美白に見える。光の加減や調節具合がやっぱりプロだなと思った。


トータルで21万円ほどかかったが、フォトウェディングをやってよかったと思う。またこの写真を使ってアルバムを作ってみたい。