お化け屋敷には型があった-1日で3種類を体験した感想-

夏がくーればおもいだすーということで今年もお化け屋敷に行ってきた。自分は怖いのは苦手だがお化け屋敷には自ら入りたがるタイプだ。だがびっくりさせる系の驚かしには弱い。今年はみろくの里という広島県にあるテーマパークで夏に期間限定のお化け屋敷をするという噂を聞いて行ってきた。お化け屋敷は3種類あり12歳未満は入場できないということでなおさら期待が高まる。今まで商店街や博物館などいろいろなお化け屋敷に行ったが、1日で3種類のお化け屋敷に入るのは初めてだ。

 

顔剥ぎ女、赤マントの怪、オトロシ様の3つ全てを体験できるパスポートを購入し、お化け屋敷へ向かう。お化け屋敷があったのは、テーマパークの中でも昭和の街並みを再現しているエリアだ。小学校や映画館など昔ながらの町並みや家具、人形が並んでおり照明は雰囲気づくりのためか薄暗い。お化け屋敷に入る前でなければなんてことでない風景なのだが、先への不安から平和な様子や笑顔の人形をなんとなく怖く感じてしまう。まさにジェットコースターで上っているときの心境だ。

 

一番怖いという噂の顔剥ぎ女はそのエリアの一番奥にあった。出口に半狂乱の人間が飛び出してきますという文字がともに、うごめく棒人間が描かれているのを見て期待が高まる。さらに入り口にたどり着くまでの道のりに、顔剥ぎ女まであと○歩という看板がたくさん並んでいたのも面白かった。

 

顔剥ぎ女は決められた通路を歩いて進むウォークスルー型のお化け屋敷だ。富士急ハイランドの戦慄迷宮もウォークスルー型なので、おそらくお化け屋敷では一番メジャーな型だろう。怖さレベルは5で、3つの中では最高だった。

 

入り口にたどり着くと、週末であるにも関わらず人はほとんど並んでいなかった。前に2組並んでいただけで、後ろにはだれもいない。お化け屋敷に入る直前に自分たちだけのグループになってしまうと、周りは静かで薄暗くなんともいえない雰囲気だった。一気に怖さが増していく。

 

自分たちの順番がくると、まずは映像を見せられる。走ってはいけないとかカメラをとってはいけないなどの注意事項と、お化け屋敷のストーリー映像だ。ざっくりとしか覚えていないが、ある女優がライバルに顔を傷つけられて女優としての道を断たれたのを恨みに思い、周囲の人の顔をはぎ取っていると。スタッフから顔をわたされ、女優にきれいな顔を返してあげてほしいと頼まれる。その顔はゴムでできていて何となく感触が不気味だった。

 

部屋がいくつかあってドアを開けて先に進んでいく。ドアを開けるのはなにかびっくりする仕掛けがありそうだから嫌だと思っていたら、連れが先に言ってくれた。その代わり最後尾が自分になる。前を進むのも怖いが一番後ろも怖い。長い髪の女のマネキンがたくさんいる部屋は今にも動きださないかとビビりまくる。人形か?人間か?見極めるために凝視しながら進む。ドアのすぐ横にいたマネキンとは目を合わせないようにして通り過ぎた。しばらく動かないのでなんだ人形かと安心していたら後ろからなにか追いかけてくる気配が。ギャアアアアアア(女の声)すぐ後ろに聞こえる声が怖すぎてビビってしまい振り返れない。ドアを開けて次の部屋に逃げると光が見えやっと出口かと思ったところで右方45度の角度から髪の長い女があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ(自分の声)3秒くらい目と目が合う。

 

次は赤マントの怪だ。怖さレベルは3で3つの中では一番低い。こちらはなぞ解き脱出型で、リアル脱出ゲームとお化け屋敷をコラボさせたようなものだ。ある部屋からミッションをクリアして脱出しなければならない。そのため部屋に入れるのは1グループずつで、前のグループが終わるまで少し離れた椅子に座って待っていた。

 

順番になると、スタッフからライトと紙のたすきとダイヤル錠のついた木の箱を受け取って説明を聞く。制限時間は3分、赤マントに見つからないように木の箱に書かれた3つの謎を解いてダイヤル錠をあけなければならない。赤マントが出てくるときは刃物を研ぐ音が聞こえるので、物陰に隠れてやり過ごす。赤マントに見つかってたすきを切られたらゲームオーバーだと。

 

やばいやつから隠れながらミッションをクリアするという点で、ホラーゲームの青鬼やSIRENを思い出した。しかも3分で3つの謎とかなかなかの無理ゲー。謎の1つは赤マントの背中を見る必要があるので、見つからないように背中を見るなんてどうするんだとめちゃくちゃ緊張しながらスタートした。

 

まず部屋に入って暗すぎることに動揺する。ライトをつけないと足元も全く見えないし、部屋の広さもよくわからない。間違い探しがあるということで必死に絵を探すが、1つしか見つからない。あれ?もう1つはとうろうろしていたら刃研ぎの音が聞こえる。来るのが早すぎる。あわてて隠れるところを探すがよくわからない。とりあえず手に触れた段ボールを1つつかみ、頭からかぶってしゃがんだ。これ赤マントが暗闇でも見えるタイプの怪人だったら足が見えてOUTだな、段ボール人間のままで襲われたらまぬけだな、などと冷静に考えながらじっとしていたら音が聞こえなくなる。何とかやりすごせたようだ。

 

すぐに段ボールを捨ててもう1つの絵を探し始める。数十秒で3mほど離れたところに2枚目の絵を見つけた。しかしライトがないと全く見えないほどの視界で、離れたところにある絵の間違いさがしをするのは難易度が高すぎる。間違いを数えながら2枚の絵の間を行ったり来たりしていると、また刃研ぎの音が聞こえた。もう時間がないが仕方ない。さっき捨てた段ボールをつかんでかぶり壁際に隠れる。前を誰かが歩いていく気配を感じた。しかししばらく待っても音はやまず、赤マントは部屋から出ていかない。

 

すると赤マントに見つからないように隠れた場所から出て謎を解けと指示される。ええええええええ無理無理無理無理。ゲームならできても現実で実際にやるのはわけが違う。怪人から隠れながらミッションをクリアするホラーゲームの主人公を初めて尊敬した。恐怖で段ボールから出ることもできず固まったまま時間が経つ。するとブザーが鳴り響き、なにか起こるのかとじっとしていたらスタッフが呼びに来た。制限時間を超えたため脱出失敗だと。最後は普通に部屋を出ればよかったらしい。謎を解けなかったのも、怖くて動けなかったのも悔しいのでリベンジしたい。

 

最後はオトロシ様だ。狭い部屋の中で椅子に坐って体験する、密室着席型のお化け屋敷だ。怖さレベルは4。誰も並んでいなかったため、あっさり部屋に通された。スタッフから藁人形を渡され、水を入れた容器の横に置いていすに座るように言われる。そして注意事項として振り返ってはいけないと言われた。怪談ではよく振り返ってはいけないという話があるので意味深である。

 

扉が閉められると部屋の中は真っ暗だ。しばらくしてオトロシ様を呼び出す儀式を行っている女子の声が聞こえ始める。どうやらオトロシ様はこっくりさん的なものらしい。儀式をすすめていうちにハプニングが起こりだんだんとやばそうな雰囲気になっていく。するとすぐ後ろで「どうして…あなただけ…」とうらめしそう声が聞こえた。吐息もかかるし気配もめちゃくちゃ感じる。これが振り返ってはいけない理由か。部屋から出て自分の頭を触ってみると少し湿っていた。

 

オトロシ様は部屋が狭かったためお化けがどこから出てくるか予想できたし、自分から行動を起こす必要がないため自分には一番怖くなかった。椅子に座ってるだけって楽でいいな。だがお化け役の演技力が一番すごかったのはオトロシ様だと思う。1日に3つのお化け屋敷を体験するのは初めてだったが、それぞれに魅力があって3つともよかった。また来年の夏もお化け屋敷に行ってみたい。