花火のような人生をおくりたい

夏は花火大会の季節だ。いくつかの花火大会を見に行ってきた。花火にはなんとなく惹きつけられるものがある。目に見えるのはたった1,2秒なのに、その一瞬の輝きのために全力をだしているかのようなところに魅力を感じるのかもしれない。儚いイメージもあるが光の強さや音はとても力強い。

 

花火は火薬と金属の粉末を混ぜて包んだもので、色とりどりの花火があるのは、異なる金属を使った染色反応を利用しているからだ。ナトリウムは黄、銅は青緑、カルシウムはオレンジ、リチウムは赤などいうとロマンがない。恋人と花火大会に行くなら余計なことをいうなとつっこまれるところだ。

 

花火の中に色を楽しむことなく、音や動きを楽しむものもある。ロケット花火やねずみ花火がそうだ。ロケット花火はロケットのように打ち上げる。ねずみ花火は高速回転して這いまわる。趣がないので恋人との花火には向かないかもしれないが、友達同士ではじけて楽しむにはちょうどいい。

 

日本に花火は鉄砲と一緒に伝わってきた。江戸には玉屋と鍵屋という二大花火師がいて、たーまーやー、かーぎーや―という掛け声の元になっているそうだ。玉屋の方が人気があったらしいが、火を出して半町(1500坪)を焼いてしまったため一代で家名断絶になった。1500坪は4990平方メートル、1辺70m正方形に収まるくらいの範囲だ。花火を作る立場だった玉屋も一代限りの儚い存在になってしまったのはむなしい。

 

火薬を使う花火には事故の危険がつきまとう。過去に花火による事故はたくさんあった。花火工場が爆発したり、花火大会で 2尺玉の破片3.4kgが観客席に落下して小学三年生の子どもが死亡したり。花火を作る立場である花火師が打ち上げ前の花火に引火して焼死したこともあった。

 

現在は危険な打ち上げはコンピューターを使って行っている。それでも人間が関わる仕事なのでミスはある。アメリカのサンディエゴ独立記念日花火大会で20000発を17分で打ち上げる予定を15秒で打ち上げてしまったこともある。死人やケガ人はいなかったそうだが、ぞっとする出来事だ。なによりも安全に気をつけなければいけない。華やかな花火の裏には事故もあったということを知っておかなければならない。

 

花火のように一瞬の輝きのために全力を尽くすことはいいが、そのために自分の身をないがしろにしてしまってはどうしようもない。自分も大切にしながらできるかぎり最大限の努力をしていこうと思った。