桃がおしりのように見える

子どものころ、遊園地に行ったときに果物に乗ってくるくる回るアトラクションがあった。桃に乗って写真をとり後から見直してみると、まるでおしりにのっていたかのように見えて笑った記憶がある。「桃 セクシー」で検索すると桃に下着をかぶせた画像が出てくる。桃尻という言葉もあるし、きれいな桃はきれいなおしりに似ている。

 

桃は7月8月ごろにとれる果物だ。昔は日本原産のものもあったが、今日本で売られているものは中国か欧米の品種を改良したものである。桃は4月に桃色のきれいな花を咲かせる。ピンク色の花というと桜の木を連想するが、桃は桜より濃いピンク色で花の大きさも大きいため存在感がある。

 

桜には木の根元に死体が埋まっていて、そこから血を吸いとってピンク色になったという怪談があったりする。桜は咲いてから散るまでがあっという間の儚い存在だからかもしれない。それに比べて桃の花はピンクの色が濃く派手なため全く儚いイメージはない。ただ桃の実はとてもデリケートである。

 

桃はとても傷みやすいので育てるときは袋掛けが必須だ。袋掛けをしていないと虫がいくらでも寄ってくるので、一つ一つに紙でつくった袋をかぶせていかなければならない。桃を作っている知り合いが桃の手入れの中でこの袋掛けがとても大変なのだと言っていた。確かに一つ一つの桃に袋をかける作業を想像すると気が遠くなる。桃は木のいろいろなところに生えるので上の方に手を伸ばしたり腰をかがめたりと、つらい姿勢で作業しなければならないし。

 

おいしい桃を選ぶにはしっかりとした産毛が生えていて香りが強く、軸回りが青くないものをさがすとよいといわれている。桃は鎌倉時代から貴重なお菓子として扱われてきたらしい。今でも桃は高級な果物だ。普通にスーパーなどで見かけてもだいたい1個300円以上はする。日常的に買う果物というよりは贈答用の果物という感じ。

 

日本で桃がたくさん生産されているのは山梨県福島県、長野県だ。その3県を合わせると日本全体の8割近くの桃を生産している。桃は降水量の少ない盆地が育てやすいのだが、その条件がそろってないところでも育てられる。家庭菜園で果物を作るなら高くて自分ではなかなか買えない桃を作るのもいいかもしれない。