小児糖尿病サマーキャンプはかなり楽しい

小児糖尿病サマーキャンプを知っているだろうか。小児糖尿病サマーキャンプとは糖尿病の子どもたちを集めていろいろな体験をしながら糖尿病に対する理解を深めるイベントだ。学生の時にボランティアで小児糖尿病サマーキャンプに参加した。それまで糖尿病というと甘いものを食べ過ぎた中年がなるものというイメージを持っていたが、生まれつきインスリンが出ない体質で糖尿病になってしまう子どももいることを知った。

 

インスリンは血糖値を下げるホルモンである。このインスリンが出ないと血糖値が上がり過ぎてしまい、血管が傷つき目や神経や腎臓がダメージを受けてしまう。それを防ぐためにインスリンが出ない、もしくはとても少ない体質の人はインスリン注射をする必要がある。最近のインスリン注射はペン型になっていて自分で打つことができる。食事をして血糖値が上がるのを防ぐために食事の前後にインスリン注射をするのだ。

 

1日に食事を3回とるのならインスリン注射も1日に3回打つ。小児糖尿病サマーキャンプには糖尿病の専門医が付き添っており、食事の前に子どもたちが打つインスリン量を確認していた。ワークシートのようなものにその日に食べる食事のカロリー数を入れて計算すると、自分が打つべきインスリン量が分かるようになっている。先生にOKをもらったら子どもたちは各自でインスリン注射を打ってから食事をする。小学校高学年や中学生の子はスムーズでかなり手慣れている様子だった。

 

糖尿病について学ぶ時間もちゃんとある。糖をボール、インスリンをトラックに見立てた講義はわかりやすかった。他にはオリエンテーリングをしたり、流しそうめんを食べたり、竹で水鉄砲を作って水遊びをしたり。わりと遊ぶことが多いのだが、もちろんそれにも意味がある。血糖値の上がりやすさは食べ物によって違いがあるし、血糖値を下げるインスリンは運動することで働きがよくなるので、その日の食事や運動量によって打つインスリン量を調整する必要がある。その感覚をつかむためにさまざまな体験をすることが役に立つのだ。

 

学生はそれぞれイベントを受け持つことになっており自分は肝試しを担当した。肝試しには3階建ての建物をまるまる使わせてもらえるということで、ミッションをクリアしていく形式の肝試しにした。まずはお札を手に入れてそれをお供えする場所を探す。見つけたらその場所にお札を置き線香を立てて帰ってくるというミッションだ。子どもたちを4,5人ごとのグループに分け、1グループに一つ提灯を待たせる。提灯は100均で買った電池で光る安全なもの。始めグループ分けをする時にくじの色がわかりにくくて手間取るなど、少しぐだぐだ感もあったが楽しんでもらえたようでよかった。怖がらせるためには脅かす人にどこに立ってもらうか、どのようなものを置いたら怖いかなど考えながら準備するのはわりと楽しかった。

 

参加前は糖尿病サマーキャンプにお堅いイメージを持っていたが、参加してみるとかなり楽しかった。小児糖尿病サマーキャンプは生まれつき糖尿病を抱えている子どもたちにとってとてもいい場所だったと思う。ボランティアする側の理解も深まるし、何より子どもたちもボランティアする人も楽しいというのがいい。このようなサマーキャンプがこれから先も続いていってほしいと思う。病気を抱えているからといって落ち込んだり同情したりするより、病気を前向きにとらえてうまく付き合っていける道をみんなで考えていくのはとてもよいことだと思った。