柿の季節になってきた

9月半ば、そろそろ柿がおいしくなってくる季節だ。少し涼しくなったと思っていたら、ここ数日の間は30度を超える猛暑日が続いた。それがやっと涼しく秋らしくなってきた時に柿をもらったので食べてみた。皮はまだ3分の1くらい青く、全体的にオレンジというよりは黄色に近かったがまあまあ甘かった。

 

いま日本で食べられている果物はほとんどが中国や欧米の品種を改良したものだが、柿は数少ない日本原産の果物である。柿は昔から日本にあったためか「柿」が含まれている言葉は多い。「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」は正岡子規の句である。ちなみに法隆寺がある奈良県は柿のハウス栽培が全国1位だったりする。

 

「桃栗3年柿8年」ということわざがある。これは桃の実がとれるまでに3年、柿がとれるまでに8年かかるというそのままの意味だが、接ぎ木をして育てる場合は4年くらいで実をつけるらしい。また「柿が赤くなれば医者が青くなる」ということわざもある。柿はかなり栄養価の高い果物でビタミン、カリウム、ミネラルが豊富なため、柿を食べていると医者にかかる必要がなくなり医者の商売が成り立たなくなってしまうということからできたとか。

 

柿は昔話にも出てくる。「サルカニ合戦」で柿は、親ガニを撲殺する凶器として使われた。そんな物騒なイメージもある柿には甘柿と渋柿がある。甘柿は富有柿や次郎柿などが有名で、皮をむけばそのまま食べられる。渋柿は西条柿や愛宕柿が有名で渋みが強いのが特徴。そのまま食べるのは正直きついのでアルコールにつける、乾燥させる、温泉につける、米ぬかにつける、炭酸ガスを使うなどして渋を抜いて食べる。サルカニ合戦に出てきた柿はそのままかぶりついたサルがおいしそうに食べていたので甘柿にちがいない。

 

柿は乾燥に弱く寒い時期は甘くならない。そのため日本で柿がたくさん作られているのは和歌山、奈良、福岡とすべて西日本である。柿を育てるためには夏に平均25度以上は必要だといわれているが、近年の温暖化から柿が育つ地域はだんだんと広がってきている。今は北海道ではほとんど生産されていないが、このまま暑くなっていくと北海道でも甘い柿が育てられるようになるかもしれないと思った。