タイで食べた物の思い出

旅の思い出の中で食べ物のことってなぜかよく覚えている気がする。そこで2013年に3週間タイに行ったときに食べた物について振り返ってみようと思う。ちなみに1バーツが3円くらいの時の話である。


タイの街中には食事ができる店がたくさんあった。屋根だけあって土の上に机と椅子みたいな開放的な店も。値段が安く1メニュー30〜50バーツ、日本円だと90〜150円。おいしかったのはカオソーイ、カレースープの中に揚げた麺と骨つき鶏肉が入っている料理だ。自分は必ず甘口のカレールーを選ぶくらいの甘党だが辛くて食べられないことはなかったし、カレー味とパリパリ食感の組み合わせがいい。味付けした蒸し鶏をご飯にのせているカオマンガイも悪くない。


食事をする机の上にはしばしば4種の調味料が置かれていた。うち2つは唐辛子入りの酢と粉末唐辛子。粉末唐辛子は赤く見た目からして辛そうなので手を出さなかったが、唐辛子入りの酢は透明だったので口に入れてしまい手を出したことを後悔した。砂糖らしき白い粉と砕いたナッツの粉はあまり味がしない。たまに置いてあるナムプラー(魚醤油)はまあまあおいしかった。


タイでは屋台も充実しており、特にフルーツがよく売られていた。日本の果物屋のように丸ごと売られている店もあれば、皮をむいて一口サイズにカットし串にさした状態で売られている店も。スイカが食べたかった時に丸ごと売られている店でカットOK?と聞いてみたが、店のおばさんに首を横に振られて断念。後日カットされた状態で売られている店を見つけて購入した。日本で食べるスイカと特に違いはなかった。


マンゴーは熟して黄色くなる前の黄緑色のものを食べたら、きゅうりの固いところみたいな味がしておいしくなかった。マンゴーはやっぱり完熟じゃないと。ドラゴンフルーツはあんまり甘くもなく酸っぱくもない。種がぷちっとした食感がするくらいしか特徴がなくおいしくなかった。


フルーツで自分が1番おいしいと思ったのはロンガン(リュウガン)。ブドウのように身がついており皮をむいて食べる。味はライチに近く、みずみずしくさっぱりしているためパクパク食べられる。ライチよりクセがなくて皮もむきやすいのがいい。屋台では一房30バーツ(90円)で売られており、ホテルに持ち帰ってよく食べていた。


タイの主食はタイ米である。日本の米より細長く粘り気が少ない。モチモチ感を求めるなら物足りないが、米がくっつかずバラバラになっているのでチャーハン作りにはちょうどよさそう。型で固めて平皿に載せても崩れないくらいの粘り気はあるし、パサパサしているという感じはなかった。乾燥を防ぐためか竹でできた箱に入れて売られていることも。


もち米もある。現地の人に作ってもらった甘くてココナッツの味がするもち米がおいしかった。竹の筒の中にもち米とココナッツと砂糖を入れ、たき火で竹ごと焼くとできる。竹は外の厚い皮だけを剝いて薄皮と一緒にもち米を食べる。竹を弁当箱代わりにして持ち歩けるし、甘くもちもちしていて腹にたまるのもいい。


タイのスイーツはとにかくココナッツが入っているものが多い。ココナッツを固めた餅のようなお菓子に、ココナッツミルクにゼリーを浮かべたもの、ココナッツ味のタコなしのたこ焼きなど。日本人だから新鮮だったが現地の人ならまたココナッツかよとうんざりしそうである。


自分がお菓子で1番おいしいと思ったのはカノムアールア。ココナッツと小麦粉と砂糖を混ぜた生地を絞ってホイップクリームのような形にして焼いたもの。外側は硬いが内側はグミのような食感。帰国してカノムアールアを食べたくなった時に、日本では買えなかったので材料を揃えて似たようなものを作ってみたが、クッキーのような食感になり完全には再現できなかった。


ジュースの屋台でもココナッツジュースはだいたいどこにでもあった。ココナッツジュースは砂糖が入っているから甘くておいしい。試しに生のココナッツに直接ストローを指して飲んだらほぼ甘さがなく舌に生臭さが残った。ココナッツの白い身は味がなくブヨブヨした食感でおいしくない。


今回の旅では食べることはなかったが、ココナッツを使った甘くない料理もあるそうだ。小学校の給食で出されたココナッツとイカの入ったオレンジ色のスープが激マズだった思い出があるので、ココナッツ料理に挑戦したいとはあまり思わない。ココナッツはスイーツに使ったほうがおいしいと思う。


トムヤムクンは現地の人と一緒に作って食べた。トムは甘い、ヤムは辛い、クンはすっぱいという意味。材料はエビ、唐辛子、レモン、レモングラス(葉っぱ)、トマト、赤ネギ、カー(しょうがみに近い)、パクチー(クセのある葉っぱ)、マックー(レモンに近い)、マックーの葉、キノコ。これらを水と一緒に鍋に入れて火にかける。スープの色は赤とオレンジが混ざった感じ。食べるのはエビとキノコのみで、他の材料は味をだすためだけの出汁のような扱い。使う材料が多いわりに食べる部分が少ないのはもったいない気がする。パクチーはちょっとクセがあるが嫌いじゃない。


山岳民族の住む村にホームステイさせてもらった時には家庭料理を食べさせてもらった。カボチャは茹でるだけ、魚は揚げるだけとシンプルな料理が多い。家の周りには残飯を食べるためか鶏が住みついていて、帰る日の朝に鶏が騒いでいるなーと思っていたらお土産に焼き鶏を渡されたのは衝撃だった。ほぼ鶏の姿そのままなのにちょっとビビったがおいしくいただいた。


魚料理ではナマズの塩焼きがおいしかった。体調50cmくらいのナマズを焼いて塩を振りバナナの葉の上に盛り付ける。箸はなかったので手でつかむというワイルドな食べ方をしたからおいしく感じたというのもあるかもしれない。


以上、タイで食べたものを思い出せる限り振り返ってみた。わりと日本料理に近いものもあり全体的においしかった気がする。日本では手に入らないものもあるので、またいつかタイに行って食べる日を夢みている。