ディズニー『美女と野獣』の実写版とアニメの違い

ディズニー『美女と野獣』の実写版とアニメ版を見たので違いについて語ってみる。実写は2017年製作で129分、アニメ版は1991年製作で84分。実写のほうが尺が長いためベルの母の話と、王子の子ども時代の話が追加されている。

 

ベルの父親モーリスが森で迷って野獣のいる城に辿り着くところまでは同じ。アニメでは声をかけながら城に入ったのに不法侵入だと怒った野獣に牢屋に入れられるのは理不尽だと思ったが、実写ではベルへのお土産とはいえ他人の家のバラを摘んでしまったモーリスも悪いと思った。

 

アニメのガストンはベルの気持ちを尊重せず自分のプライドのためにつきまとったり、村人を先導して野獣を殺そうとしたり、野獣に情けをかけられたのに後ろから刺したりする悪い奴という印象が強い。だが実写のガストンも狼のいる森の木にモーリスを縛り付けて置き去りにしたり、街に戻ってきて自分を責めるモーリスを狂人扱いして精神病院へ入れようとしたり、野獣を一方的に銃で3発打ったりと負けず劣らず。

 

仲間のル・フウはアニメではガストンを褒め称えるだけの腰巾着。実写ではガストンを称えて持ちあげながら悪いことをしようとすると苦言も呈する。そのため彼の忠告を聞かずに悪事を働くガストンの愚かさが際立つ。実写のル・フウは同性愛者のキャラとして描かれていたらしいが、自分には陽気ないい奴という印象しかない。

 

ベルは本を読むのが好きで村人から変わり者扱いされているところは同じ。アニメのベルは野獣がスプーンを使わずスープを飲んでいるのを見て同じ飲み方をしているのが微笑ましかった。実写のベルは全自動洗濯機のようなものを発明していたためより知的さを感じた。

 

黄色いドレスのベルと野獣がダンスをするシーンはどちらにもある。アニメでは愛らしい野獣の表情や星空が見えているかのようなダンスホールが魅力的だった。実写ではベルを演じるエマ・ワトソンのドレスアップ姿が魅力的だった。ドレスのデザインやアクセサリーがちょっと違う。

 

野獣はアニメのほうが表情がよく変わるため感情の動きがわかりやすく好感が持てる。ラストで戻った王子姿のこれじゃない感が強い。実写の野獣は目がきれい。

 

城の家具に変えられた召使いたちはアニメのほうがかわいい。ポット夫人がベルに優しくするよう野獣を諭したりチップが閉じ込められたベルとモーリスを助けたりするのがいい。実写は家具らしさが強く高級感はあるがかわいさはない。だがラストで一瞬完全な家具になってしまうシーンはつらい。

 

アニメ版は1991年製作とは思えないほど絵がきれいだし光と煙に包まれた野獣が王子に戻るシーンに圧倒される。実写版は最新の技術を使って再現された食卓シーンとエマ・ワトソンのドレス姿がよい。