『東京ラブストーリー』の漫画とドラマの違い

東京ラブストーリー」は1988年から連載された柴門ふみによる漫画で、1991年にドラマ化された。ドラマは全11話でメインの4人は鈴木保奈美(リカ)、織田裕二(完治)、有森也実(さとみ)、江口洋介(三上)が演じる。オープニングは小田和正ラブ・ストーリーは突然に」でドラマを見る前からどこかで聞いたことあった。


東京ラブストーリー」はタイトルからも予想できるように恋の話である。愛媛から上京して東京で働く完治が主人公。携帯電話やスマホがまだ一般的でなく、登場人物が会社の電話や公衆電話を使ってやりとりをしているところに時代を感じる。


半年ほど前に再放送でドラマを見て、最近原作である漫画を読んだ。すると漫画とドラマでだいぶ登場人物の印象が違っていることに気づいた。ストーリーはだいたい同じで、漫画でもドラマでも完治とリカ、さとみと三上がつきあうが、最終的には完治とさとみ、三上と医大生の令嬢が結ばれる。しかし登場人物の行動や言動はちょいちょい異なる。ここからはメインの4人についてそれぞれ語ってみる。


完治はドラマではさとみを好きだがリカにも別れを告げられないというめちゃくちゃ優柔不断な印象だったが、漫画ではリカよりさとみが好きだとはっきり言っていた。ドラマではリカが離れていったから別れを決めたという感じだったが、漫画では自分からリカにはっきり別れを告げる。漫画のリカは自由人すぎたので完治がさとみに心変わりするのにも納得だった。リカが海外へ行って連絡がとれないでいる期間に完治はさとみへの想いが恋愛感情で、リカへの想いは親切心のようなものだったことに気づいてさとみとつきあうことにする。リカがいない間にさとみに告白したのはほめられた行為ではないが、帰ってきたリカにきちんと会いにいって誠実に対応したところはよかった。


リカはドラマでは「カンチセックスしよ」などのぶっ飛んだセリフもあるものの、完治に一途ないい女というイメージだった。そのためドラマではどうしても三上とつきあっていたさとみよりリカを応援したくなってしまう。だが漫画のリカは何人ともつきあった経験があったり、愛が重すぎて両想いになったら不安症状が出てきたりするため、あまりよいイメージは持てなかった。完治とつきあっている時もあっさり他の人と寝たりするし。仕事が忙しくて完治とレスの時に三上まで誘ったのはちょっとショックだった。リカと一緒にいても心が休まらない完治が最終的にさとみを選んだのもうなずける。漫画のリカは別れを告げられるとあっさり受け入れ、愛媛にいるリカに会いにきた完治の前から黙って立ち去る。別れの言葉を言わずにあっさり離れていくところは、完治を待たず一本前の電車にのって帰るドラマのリカと重なった。


さとみはドラマでは三上とつきあっているのに完治をキープするしたたかな女性のイメージだった。ドラマのさとみは完治に三上とのことを応援させておいて、別れたらすぐ完治を手に入れるため嫌われやすいキャラだったらしい。おでんでリカに会いに行こうとする完治を引き止めたことによる「おでん女」というあだ名は強烈。漫画のさとみは三上が本当に好きだったがつきあってから浮気に苦しんだために別れる。そのことを完治に相談しており、完治にアプローチされてから彼が大切な存在であることに気づき受け入れる。別れを告げるためリカに会いにいこうとするカンチを不安から引き止めるところは少し重いと感じるものの、三上の浮気でかなり傷ついていたという理由があるので漫画のさとみにはあまり悪い印象はなかった。


三上は漫画とドラマで一番イメージが変わらなかった。常に複数人とつきあう女好き。漫画ではさとみのことは昔から本当に好きだったことがわかるが、さとみとつきあって同棲し始めてからも女遊びは止まらない。完治に何度も忠告されていたのにも関わらずやめられなかったのでどうしようもない。さとみが出ていってしばらくはおとなしくしていたが、すぐに医大生の令嬢といい感じになりそのままゴールインした。漫画の令嬢は三上に浮気しないようにはっきりいうタイプだったので、結婚相手としてはさとみより向いているように感じた。


このようにドラマと漫画では主にリカとさとみのイメージが違っていた。それぞれに違ったよさがあるので、どちらか片方しか知らない人は両方見てみてほしい。