世界中で選択的夫婦別姓の流れがきている。昔は必ず夫婦で同じ姓を選ばなければならない国がたくさんあった。近年は法律が改正されて夫婦別姓が認められていない国はだんだん少なくなってきている。
夫婦別姓にすると子どもの姓はどうするのかと思うかもしれないが、これは夫婦で相談して決めればいいだけである。どっちでもいいなら多数派に従って父親の姓をつけてもいい。父親が単身赴任し母親と子どもがいっしょに暮らす予定なら母親の姓をつけてもいい。どちらかが日本では数少ない貴重な姓ならそれを子どもに受け継がせてもいい。姓は生まれたときに決定するため、夫婦別姓が認められている国では結婚しても姓を変更する必要はない。
だが日本ではいまだに法律上の夫婦は別姓にすることが認められていない。そのため法律で結婚するときに夫の姓にするか妻の姓にするかを選ぶようになっている。どちらを選ぶのかは自由なので男女平等である。とはいっても妻が夫の姓に変更する場合が圧倒的に多い。妻が伝統ある家のご令嬢とかなら夫が妻の姓にすることもあるが少数派である。
なぜ妻が夫の姓にする夫婦が多いのだろうか。周りのみんなに合わせたほうが無難だと考える人が多いからだろうか。夫が妻の姓になった人は婿養子と勘違いされることもあり、姓を変更するほうがなんとなく立場が弱いイメージがある。ちなみに婿養子とは夫が妻の両親の養子になることによって妻の姓になることであり、結婚とは関係ない。
イメージのことは気にしないにしても姓を変更する方は手続きする負担を強いられる。姓を変更すると免許証や銀行の口座、クレジットカードなどの名前を変更する手続きをしなければならない。夫婦別姓が認められない限りは、夫か妻かのどちらかがめんどうな手続きをすることは避けられない。最悪の場合、どちらも姓の変更を受け入れられず血で血を洗う争いが始まるかもしれない。
ぶっちゃけ自分が選択的夫婦別姓に賛成なのは、姓が変わるのが嫌だからではなく手続きがめんどうだからだ。めんどうな手続きさえなければ、自分は法律上の姓が変わることに特に不都合を感じない。姓が変わっても自分の好きな名前を名乗ることは自由だからだ。法律上の姓は変わっても職場では旧姓を使い続けている人もいる。芸能人やユーチューバーなど芸名で活動している人ならなんの影響もない。
せっかく日本でもマイナンバーを導入したのだから、名前の変更は一回役所で手続きするだけでいいようにしてほしい。個人を識別するためには生まれたときから亡くなるまで変更する必要のないマイナンバーを使えばいいのだから、姓どころか名前を丸ごと変更してもなんの問題もないはずだ。
そもそも日本でもっと簡単に改名ができるようになれば、こんなに悩むことはない。今は家庭裁判所に申請して正当な理由であると認められなければ改名することはできないらしい。パソコンでは入力できない漢字がある人やキラキラネームをつけられてしまった子どもだっている。子どもがある程度の年齢になってから名前が気に入らないと思ったときに簡単に変更できるようにしたほうがいいのではないか。
日本は先進国で唯一夫婦別姓が認められてないことに対して否定的な意見をよく聞くが、単純に夫婦別姓を法律で認めるだけではよくないと思う。結婚していても夫婦別姓だと手術の同意書にサインできないとかだと意味がない。結婚の感覚も昔とはだいぶ変わってきている。パートナー制度など現代的な感覚にアップデートされた結婚制度ができたらいいと思う。
