バタフライは派手なだけで進まない泳ぎ方だと思っていた

小学生の時にスイミングスクールに通っていた。クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの順に習い、4種類とも泳げるようになった。


しかしバタフライだけは好きになれなかった。なぜかというと他の泳ぎ方と比べて圧倒的に前に進まなかったからだ。


他の3種類は全力なら50m、ゆっくりなら100m泳ぐのは難しくなかったが、バタフライは25m泳ぐだけで疲労困憊。ドルフィンキックがうまくできず、手のかきだけで前に進もうとするため腕が恐ろしく疲れ、浮き沈みを繰り返してなんとか前に進んでいた。


ちなみにバタフライのドルフィンキックは右足と左足をくっつけたまま一緒に動かさなければならない。そのためタイミングが命でありうまくいかないと全く前に進まないのだ。タイミングが合わないとずっと同じような場所でもがいているため下手すると溺れているように見える。


バタフライは息継ぎをするタイミングもかなり難しい。キックをしてから手をかいて体が浮き上がってくるときに息継ぎをすると前に進むことができる。しかし体が沈んでいるときに息継ぎをすると浮き上がるだけでほとんど前に進まない。


そんな理由からバタフライを泳ぐことは長らくなかったのだが、ある日市民プールで水の上を飛ぶように泳ぐ人を目撃する。そのかっこよさに衝撃を受けた。


自分の中のイメージとはかけ離れていたため、始めはそれがバタフライだとわからなかった。水泳選手はバタフライのことをバッタとも呼ぶ。上手い人は虫のバッタが飛ぶように泳ぐからそう呼ばれているのかもしれないと思った。


Wikipediaで調べてみると、バタフライはクロールの次に速く泳げる泳ぎ方らしい。派手なだけで進まないと思っていたバタフライがそんなポテンシャルを秘めていたとは。


しっかり前に進むバタフライを泳げるようになりたいと思いスポーツジムの水泳教室に参加してみた。浅く飛びこむように潜り、浮き上がるのと同時に手をかくとよいというアドバイスを受ける。


その後アドバイスを元に練習して自分のペースでなら25m楽に泳げるようになった。ある程度コツを掴んでくると、バタフライは水の中に身体を滑り込ませるようにして泳ぐので手足があまり疲れないことに気づいた。


小学生の時はとにかく腕の力だけで前に進もうとしていたが、今は浮き上がる時に軽く手をかくだけなのであまり腕に負担がかからない。足も両足一緒に腰から動かすようにするためバタ足より疲れにくい。


バタフライを練習するうちに息継ぎにベストなタイミングがあることにも気づいた。息継ぎが少し早いか遅いかで1かきで進む距離がかなり変わってくる。このタイミングは言葉では説明しづらいので練習して感覚を身につけるしかない。


調子がいい日は水をかく両腕が軽く、前に飛んでいるという感覚で泳ぐことができる。バタフライを極められたらクロールよりずっと楽に長く泳ぐことができそうだ。あとは練習してどれだけ自分にベストな息継ぎのタイミングを掴めるか。いつか水の上を飛ぶように泳げるようになりたい。