「チャイルド・プレイ」はちゃんとホラーしてた

チャイルド・プレイ」は殺人鬼の魂が人形の中に入って動き回るアメリカの映画だ、ということは見る前から知っていた。動かないのに髪が伸びたり赤い涙を流したりする日本人形は怖い。だけど動き回る洋風の人形は怖くないんじゃないかと軽い気持ちで見てみると、わりとしっかり怖かった。


シリーズ1作目「チャイルド・プレイ
殺人鬼チャールズ・リーレイは刑事に追われておもちゃ屋に逃げこんだときに、呪術を使ってそばにあった人形に魂を移す。その人形が子どもに大人気のグッドガイ人形(チャッキー)だった。アンディがグッドガイ人形を欲しがったため、アンディの母親がプレゼントにチャッキーを買ってきてしまうことから悲劇が始まる。


まずグッドガイ人形の見た目が怖い。ボサボサの茶色の髪に青い目とよくある感じの人形なのだが、子どもに大人気なんて嘘だろとつっこみたくなるくらい怖い雰囲気がある。しかも電池で目を動かしながらしゃべる機能つきだ、ハイボクチャッキー君の友達だハイディーホー。


声はかわいらしいのだが、無表情で目だけ動かして決められたセリフをしゃべるのがなんか不気味。おっさんの声で表情を変えながら動き回るチャッキーのほうがかわいげがある。口が悪いので人間味があるし。


またチャッキーの戦闘能力が意外に高いのも怖いポイント。チャッキーは幼稚園児くらいの大きさなので大人と戦うときは不利になりそうなのだが、全くそれを感じさせなかった。人形は動かないという大人の思い込みを利用して不意をついたり、呪術人形やナイフなどをうまく使ったりして4人を殺す。目線の低い人形がナイフで足を攻撃するというのはなかなか効果的だと思った。


アンディはチャッキーと体格が同じくらいなので、抱えるとかなり重そうに見える。持っているというより体にひっかけてる感じ。アンディからすると自分と同じくらいの大きさの人形が襲ってくるのはかなりの恐怖だろう。チャッキーが呪術でアンディの体を乗っ取るために追いかけてくるときは早く逃げろと気が気でなかった。


絵的に怖いシーンもちゃんとある。アンディの母親がグッドガイ人形に電池が入ってないことに気づいたシーンは特に怖い。動くはずがない物が動くのは怖いが、動くはずの物がなかなか動かないのもドキドキする。


チャッキーが横転した車の周りを走り回って刑事に攻撃してくるところはジョジョの奇妙な冒険ポルナレフVSエボニーデビルの戦いを思い出した。あれはベッドの下からは見えない場所から攻撃してくる人形サイズの敵と戦うのでハラハラした。狭い空間で自由に動けないときに周りから攻撃されるのは不利だ。銃を持っていなかったら危なかった。


あとは黒焦げになっても銃で撃たれまくっても止まらず迫ってくるシーン。焼かれても手足がバラバラになってもあきらめないチャッキーには感心する。やったか?と思っても気を緩めてはいけない。最後にはボロボロバラバラの姿になったが青い目がまた復活しそうな気配をかもしだすラストシーンだった。


チャイルド・プレイには続編もある。今回のアンディは母親に守られてチャッキーから逃げるだけと少し頼りない印象だったが2では反撃もするらしい。たくましく成長したアンディに期待だ。



同じ時期に「トイストーリー」の第一作目も見た。こちらも人形か動く話で、さらに人形の持ち主の名前がアンディであるという共通点がある。ホラーではないのだがカウボーイ人形のウッディが無表情のままアンディに振り回されているシーンがなんか怖い。


ウッディは持ち主のアンディが好きなので襲いかかることはない。しかしバラバラにしたり改造したりして人形を大切にしない子どもを他のおもちゃたちと一緒にこらしめるシーンはある。子どもを怖がらせるために急にしゃべったり360 度首を回すのはホラー映画よりホラーだった。



追記
シリーズ2作目である「チャイルド・プレイ2 」も見たのでその感想


予算が増えたおかげでチャッキーが表情豊かになった。怒ったり笑ったり痛がったり人間味が増したため、人形としての不気味さは減った。


チャッキーよりアンディをひきとった里親の家にあったトミー(普通のグッドガイ人形)の方がよっぽど不気味だった。チャッキーはトミーと入れ代わるために真夜中にトミーをボロボロにして埋めるのだが、その時のトミーの顔が怖い。今にも動き出してチャッキーに復讐しそうに見えた。


チャッキーは今回もしつこくアンディを狙う。そしてついでに周りにいる大人を7人も殺す。大人たちはあいかわらず人形が動くということを信じないためにあっさり殺されていく。刺された人の顔がコピー機で印刷されるシーンと、工場の作業員が人形の目玉を入れられるシーンは印象に残る。


今回はアンディが1より成長しておりチャッキーをあまり恐れていない。またカイルという同じ里親にひきとられた心強い味方もいる。カイルははじめからチャッキーを怖がらず何度も物理的攻撃を加えたり、アンディが体を乗っ取られそうなのを助けたりとめちゃくちゃ頼もしい。


アンディ自身も夜に一人で電動ナイフを持ってチャッキーを倒しにいったりする。里親の家にあったグッドガイ人形(トミーと入れ替わったチャッキー)が名前を言う時に一瞬間があったのを疑い、背中の電池をチェックするアンディは優秀な刑事のようだった。チャッキーを懲らしめた時のアンディの笑顔が特にいい。


1番の見どころはグッドガイ工場での最終決戦。同じ顔の無機質なグッドガイ人形が大量に生産されている絵がなんか不気味。ベルトコンベアが逆に動くと人形が溶かされるってどういうこと。


チャッキーの体は人間に近づいているため、手が千切れたときは絶叫し血を流す。足を溶かされたため台車にのり這ってアンディに近づくシーンは痛々しかった。


手足がなくなってもドロドロにとかされても起き上がって襲いかかるチャッキーの不屈の執念にはあいかわらず感心する。最後は空気でパンパンになって破裂しバラバラになる。今回は復活を思わせるような演出もなくスッキリしたラストだったが、3作目が製作されている。3作目も主人公はアンディだが成長した姿を演じる俳優は別人なので気が向いたら見てみようと思う。


2はチャッキーが粘り強くアンディを追いかけては叩きのめされるのでもはやコメディ。必死すぎるのチャッキーを見ていると応援したくなってしまう。膨らんでいくチャッキーはちょっとかわいい。アンディの成長が見られ正義は悪に勝つという後味のいいラストのため自分は2の方が好き。だがホラーしてるのは1だと思う。