13日の金曜日じゃないけど『13日の金曜日』PART1~4を見た

2020年には13日の金曜日が2回あった。3月と11月だ。3月に『13日の金曜日』シリーズ1を見てから3ヶ月ずつ空けてシリーズ2と3を見る。そしてせっかくだから11月の13日の金曜日に完結編といわれているシリーズ4を見ようかと思いレンタルDVD店に行く。するとちょうど貸出中だった。どうやら自分と同じ考えの人がいたらしい。仕方がないので次の週にレンタルして見た。


13日の金曜日」というタイトルはキリスト教で悪いイメージのある数字13が使われただけで、ストーリーには関係ない。惨劇が起きたのが13日の金曜日だったのかもしれないが、映画内では全く触れられない。


13日の金曜日』シリーズの魅力はホラーにしては後味が悪くないというところだ。殺される人数は9〜14人とかなり多い。だが思い入れのないキャラクターたちがサクサク殺されていくのであまり怖くない。特にセックスをしているやつらはさっさと殺される。生き残る最後の一人の女子はファイナルガールと呼ばれる。


この4つのシリーズは時系列順につながっている。ちなみに3は2の翌日の話らしい。4は3の話の最後の場面から始まる。とはいっても覚えておくべきストーリーはほぼないし冒頭で前シリーズの振り返りをしてくれるので、途中から見ても全く問題ない。


13日の金曜日』といえばホッケーマスクで怪力のジェイソンを連想する人もいると思うが、1と2はそうではなかった。全4シリーズを通して見るとジェイソンの変化がわかる。時間のある人は全て、時間のない人は1と2を見ることをおすすめする。


シリーズ1〜4を見終わって一区切りついたのでここからは『13日の金曜日』を順番に振り返ってみることにする。

 

1『13日の金曜日』1980 95分

最後の一人になるまで殺人鬼の姿は映されず、殺戮の様子だけが描かれる。正体不明の敵に襲われるという点でシリーズ4つの中で一番ホラーっぽい。殺人鬼が姿を現したときもはじめは普通のおばさんにしか見えず、死体を前に急にペラペラ話しだしてからやばい奴だど気づいた。


パメラがKiller Mammyと何度も言い息子と会話しているかのようにふるまう狂った演技が一番の見どころ。息子は協力員の不注意のせいで溺れた、キャンプ場を続けるなんて許さないと襲いかかってくるのは理不尽極まりない。息子を想う母の愛といえば聞こえはいいかもしれないが、やってることはただの猟奇殺人。


パメラは攻撃力はたいしたことないのだが、耐久力がすごい。ファイナルガールのアリスに火掻き棒やフライパンで殴り倒されながらも3度起き上がる。アリスへのビンタ攻撃は笑ってしまった。暗殺スキルも高い。ベストKILLはベッドの下に潜んでいて片手で頭をおさえこみ喉を串刺しにしたやつ。


パメラを演じた女優は「隣のお姉さん」というイメージで売っていたためホラー映画のオファーに乗り気でなかった。脚本もひどいと思ったが欲しい車を買うために引き受けたらしい。


アリスを演じた女優はストーカーにつきまとわれていたため、2作目の冒頭で退場させてもらって女優を引退したとか。現実の人間のほうがよっぽど怖い。


この映画の監督と脚本家は興行成績が一番大切だと言ったり、この映画を見て殺人を犯した人がいたとしても映画に責任は全くないと言ったり、なかなか尖っている。


効果音のキ・キ・キ・キ・キ・キ…マ・マ・マ・マ・マ・マはKiller Mammy(ママ、殺して)の頭文字をとった音でいい味を出していた。ジェイソンはもともと登場させる予定はなかったが、最後にインパクトが欲しいということで不気味な見た目で湖から飛び出すことに。これがジェイソンの記念すべきデビュー作となった。

 

2『13日の金曜日 PART2』1981  87分

1の惨劇の5年後が舞台。クリスタルレイクの近くのキャンプ場に新たな指導員の若者たちがやってくる。1で予言めいたことを言っていたキャラの濃いラルフじいさんが殺されたのがちょっとショック。


1ではいなかったが今回は応援したいカップルがいた。車椅子のマークとヴィッキーだ。マークは事故で下半身麻痺になり医者に治らないと言われたのを信じてないと言い切るのがかっこいい。ヴィッキーはセックスの約束をして下着を変えたり香水をかけたりといそいそ準備するのがかわいい。そんな2人はセックスする前にジェイソンに殺されてしまう。ベストKILLはマークの顔面に山刀を叩き込み車いすごと後ろ向きに階段から落下させたやつ。


2のジェイソンは股間を蹴られてよろめいたり、チェーンソーを向けられて必死で後ずさったり、人間味が強い。ファイナルガールのジニーが母パメラに成りすましてそこに座りなさいと言ったら、ジェイソンが膝をついたのはなんかかわいかった。袋からのぞく目が澄んでいてきれい。ベッドから出てきたジニーを攻撃しようとしたら椅子が壊れて転ぶというドジっ子属性もある。


ジェイソンは友達がいないため母親が世界の全てで、身体だけ大人になった子どもだと分析されていた。確かにジェイソンにパメラのような狂気的な怖さはなく、母親にほめられたいがために悪気なく殺戮をする大きな子どものように見えた。


最後の一撃がスロー、安心して穏やかな音楽が流れたところで後ろから襲われるというパターンは1と同じ。犬が生きててよかった。

 

3『13日の金曜日 PART3』1982 95分

メンバーを怖がらせるために悪ふざけしていたシェリーを殺したときに、彼がかぶっていたホッケーマスクをゲットする。それ以降気に入ったのかかぶり続けているため、ホッケーマスクがジェイソンのトレードマークとなった。


3ではジェイソンが急に筋骨隆々の大男に。素手で頭を握りつぶして目玉がとび出したり、車の窓を頭突きでわったり、首をつられても平気だったりと人間離れしてきている。車で轢かれそうになって華麗にとんでかわしたのはちょっとかっこいい。


買い物している若者たちにからんで、バイクを壊された仕返しに火をつけにきた不良3人組がジェイソンに殺られたのはざまあwwwと思った。ベストKILLは逆立ちで歩いててジェイソンの姿が見えたとたんに一撃で殺されたやつ。


クリスは前2作のファイナルガールと比べてたくましい。前2人は自分が殺されそうになっても反撃するのにためらいがあったのに対して、クリスにためらう様子は全くない。本棚を倒したり、正面から頭に斧を叩き込んだり、首に縄をまいて突き落としたり、容赦のない攻撃をする。


クリスは2年前に家出したときにジェイソンに襲われてひきずられた時に気絶し、気がついたら家に帰っていたらしい。なぜ殺されなかったのか。ジェイソンはあいかわらず男女平等に殺していくが、納屋の2階からマスクをとってクリスを見つめる表情は彼女に執着しているようでちょっと怖かった。

 

4『13日の金曜日 完結編』1984 91分

特殊メイクやマスクを自作する少年トミーがジェイソンにトドメをさすため、タイトルに完結編と入っている。なお完結編の後も13日の金曜日シリーズの映画はいくつも作られており、ジェイソンは不死身の怪物になったと噂で聞いた。


トミーが指が動いたのを見て死ね死ねいいながらジェイソンを滅多切りにするシーンが一番ホラー。ラストで生き残った姉のトリッシュとハグしたときのトミーの目は人が変わってしまったかのようで二代目ジェイソンになるのかと思った。続編でそうなる案もあったらしい。


あれだけ殺人事件のあったクリスタル湖の近くになぜかトミーたち家族が住んでおり、となりの家に若者たちがやってくる。裸の男女が窓から見えて飛び跳ねてはしゃぐトミーがかわいい。


今回来た若者たちはセックスのことしか考えておらず男と女なら誰でもいいのかという感じ。前3作ではなかった三角関係やドロ沼もある。彼女がいるのに他の女といい雰囲気になるポールや、彼女にふられてキャンプ場で出会った新しい女とセックスし浮かれているジミーが殺されても少しも同情できない。


栓抜きどこと言った奴の手に栓抜きを突き刺し顔面に一撃をくらわせたジェイソンにはジョークのセンスがある。ベストKILLは死体安置所で目覚めたジェイソンがスケベ医師の首を糸のこで斬り180度回転させたやつ。


前シリーズで殺された妹の復讐のためにやってきたロブには、期待していたが、トリッシュの目の前でジェイソンにあっさり殺されてしまう。トリッシュはロブに惹かれているようだったし、ちょうど武器も持ってたんだからロブを助けるため攻撃してほしかった。


今回はトミーも生き残ったのでトリッシュは最後の一人ではないのだが前3作のファイナルガールのような立ち位置だった。ジェイソンと一対一で対峙し、弟トミーを守るためにブラウン管テレビで頭を殴るという大技を見せつける。ただ3のクリスほどの度胸はなく、トドメはトミーに譲った。


トミーが髪を剃って子どものときのジェイソンのような姿で出てきたとき、ジェイソンはゆっくり近づいていくがあまり動揺してるようには見えなかった。2で全く似てない母のふりを見た時のほうがあきらかに動揺していたので、トリッシュが髪を切って母のふりをしたほうがよかったのではと思った。


マスクがとれたジェイソンはシワが多くまるでおっさんだし目に力がないしかわいさは全くなかった。シリーズ2〜4では3日しか経過してないのにどんどん老けていくジェイソンに虚しさを感じた。

 

以上

また他のホラー映画も少しずつ見ていきたい。