『約束のネバーランド』を一気読みした

アニメを見て気になっていた 「約束のネバーランド」全20巻をレンタルして一気読みした。もともとアニメ1期があまりにもきれいに終わっていたので続きを見る気にならなかったのだが、2期のあまりの粗の多さに原作が気になって読むことにした。


結論からいうとハッピーエンドで読後感はまあまあ爽快なので読んでよかったと思う。脱獄編の後は蛇足とかいう評判も聞いたが、それで読むのをやめなくてよかった。まあGFハウスを脱出する5巻までが一番おもしろいという意見には同意するが。


漫画は絵の雰囲気が独特なのがいい。怖いというより美しいコニーの死体とか、顔の圧がすごいシスタークローネとか、圧倒的ラスボス感のある女王とか。クローネとの鬼ごっこ回はシリアスなのかギャグなのか。「このクソみたいな世界をぶち壊せ」は印象に残る。子どもたちは途中から増えすぎて顔と名前は覚えきれなかったが、短パンにニット帽のラジアンはわりと印象に残っている。木の上からマシンガンをぶっ放し追い詰めた鬼に「10秒あげるよ、なんてね」が好き。


漫画とアニメ1期はちょっとずつ違う。アニメはモノローグがないので登場人物がなにを考えているかわかりにくい。ママに鍵をかけた部屋に閉じ込められたレイが漫画では自分で体当たりして脱出するが、アニメではドンが扉を壊す。下見をしようとしていたエマとノーマンがママに見つかったとき漫画では強行しても出荷されることはないという結論を出していたが、アニメでは2人が意味深な視線を交わしただけ。アニメはエマが脱出する直前にママがたどりつき行かないでと言うが、漫画では全員脱出したあとに来るので姿も見ていない。


漫画とアニメ2期は全然違う。農園を脱出したあとソンジュとムジカに助けられ、シェルターを見つけるところまでは同じ。ゴールディポンド編は全カット。エマたちは追手から逃げるだけで1年経過。街中であっさりノーマンと再会。びびっておじいちゃん鬼を殺せないノーマン。さくっと農園の地図と治療薬を手に入れる。急に味方になるママ。最終回のスライドショー。などなどつっこみどころ満載だった。


5巻までは農園からの脱出、6巻からは鬼がいる世界からの脱出を目指すのだが、触覚で獲物をとらえる木とかなんでも願いをかなえてくれる存在とか一気にファンタジー要素が増える。七つの壁は6面の空間+時間とか言われてもピンとこないし、自分の意識を変えるだけで約束の地へ行けるというのも微妙。鬼の最上の存在は人智を超越しすぎているし、「ごほうび」はただの嫌がらせだし。


ゴールディポンド編はわりとトラウマ。レウウィスがいいキャラしてたし、エマが1番主人公っぽかった。鬼が食用児を捕まえ遊び感覚で狩りしているのが残酷。レウウィスもエマの敵意を得るために子ども殺したりするし。相方のノウマを殺されたノウスが死体を食べ3人をバキボコにするのはやばい。重傷者多数。狩り庭で引き裂かれた大人二人が再会しエマたちに未来を託すというのはよかった。


王都決戦編はわりと好きなシーンが多い。「さあ、存分に復讐を」とノーマンにお膳立てされ、自分を野良落ちさせた五貴族を倒すギーラン。そのギーランをさくっとつぶす女王の強者感。ノーマンとラムダの子たちの総攻撃で女王の核を潰すところは爽快だった。ノーマンの「間に合わなかったね、エマ」はダークヒーロー感ある。


鬼は必要がなくても食べたければ襲ってくる、エマは好きな物を食べるなと言われてはいそうですかと納得できる?自分ができても家族に同じ我慢をさせられる?というノーマンの言葉は正論すぎて反論できない。鬼にも子どもがいるとかムジカは友達だから鬼を絶滅させたくないというエマには自分も家族も食べられかけてるのに何言ってんの?と思っていた。だが憎しみや恐怖にとらわれず自由になるために殺して解決で終わらせたくないというエマの言葉には納得できた。


レウウィスは狩りをして人間を食べたかったから農園を廃止しようと演説するのはわかるが、民衆鬼は人間食いたいけど農園あると縛られるから人間くらい食べなくてもいいかと言うのはびっくりした。ソンジュとムジカは宗教的理由で人間を食べないが、ソンジュはエマたちの子どもが増えたら狩りをして人間を食べたいと言っていたのに結局はエマたちが逃げるのを見守る。ムジカの好感度は上がったようだが、ソンジュおまえそれでいいのか。


ママはもともと農園育ちで、自分が生きるためにママになったので敵だが憎みきれない。笑顔でエマの足の骨を折って抱きしめるシーンは怖かったが。縛っていた髪を下ろし、脱出したエマたちに「行ってらっしゃい気をつけてね」というシーンはきれい。漫画では子どもたちを普通に愛したかったという葛藤が描かれていたので「すばらしいわ、あなたたち全員フルスコアよ」は胸熱だった。


エマは全員で脱出するという決意を貫き通したのがすごい。ネガティブになりそうになっても大丈夫、できるとみんなを引っぱっていくところは好感持てる。「そういう命の線引き絶対しないでね」とレイに見せた表情は怖かった。「ここじゃなくてもまだ死ねる、いいもの見せてやるからだまってこい」とノーマンの言葉をレイに伝えるエマはかっこよかった。


ノーマンは一番頭がよさそうだがかなりの苦労人。再会したノーマンはえらく老けていたし。「寝返って、僕たちのスパイになってよ」とか言ってたあのかわいかったころのノーマンを返せ。レイは始め尖っていたがだんだん丸くなっていった。ママの思い通りにならないように自分を燃やそうとした尖ったレイもいいが、足手まといだと思っていた年少の子たちが逃げるのを満足そうに見ていたレイもいい。


漫画を読むことでアニメだけではモヤモヤしていたところが解決してよかった。原作が漫画でアニメだけ見たことある他の作品の漫画も読んでみようと思った。