日本の子育て支援で変わってほしいこと

ここ最近、日本の子育て支援はどんどん充実してきている気がする。まず妊娠したことがわかったら、定期的に産科病院に通って出産までに妊婦健診を14回受ける。その14回ぶんの受診券は住んでいる自治体で発行されるため、妊婦健診の自己負担はあまりない。平均50万円ほどの出産費用も、健康保険から出産育児一時金42万円が受け取れるため8割くらいはカバーされる。


赤ちゃんが生まれたら0~3歳までの乳児健診は基本無料で、自治体か病院で受けられる。予防接種もほとんど無料。数年前は実費で出さないといけないものもあったが、B型肝炎は2016年10月から、ロタウイルスは2020年10月から公費で支払われるようになった。子どもの医療費は子どもが小学校に入学するまでは無料。自治体によって中学に入学するまで、18歳になるまで無料としているところも。そして子どもが15歳になるまでは月額5000~15000円の児童手当がもらえる。


母親の産前6週間、産後8週間の休暇は労働基準法で定められている。育児・介護休業法で定められている育休の制度においては日本は世界トップレペルである。片親なら1年間、両親で育休をとった場合は1年2ヶ月の育休を取得することができる。保育園が見つからないなど、やむを得ない事情がある場合は育休を2年まで延長可能。育休の間は給料の50〜67%が雇用保険によって保証される。


最近では自治体によって一年分のオムツ券を配布したり、ベビー用品を貸し出したりしているところもあるらしい。ファミリーサポートといって安価で地域の人に子どもを預かってもらえるサービスがあるところも。だがそれでも日本が海外より遅れていることはまだまだある。避妊する方法の選択肢が少なかったり、無痛分娩ができる病院が少なかったり、子どもを保育園に入れられなかったり。


特に避妊は計画的に子作りをするうえで大切なことなのに、日本ではコンドームくらいしか使われていない。コンドームは性感染症の予防には大切だが、効果の高い避妊方法ではなく100組に15組は妊娠するといわれている。効果の高いピルもあることにはあるが、医師の診察を受けないと手に入れられないうえに海外と比べて高額。避妊インプラントやシールなど、海外にはあっても日本では認可されていない避妊方法もある。


自治体によって子育て支援に差があるというのも問題だ。田舎で子育て支援を充実させて、若い人の移住を促そうとしている自治体もある。だがほとんどの自治体は周りの様子を見ながら、他のところでもやっているならウチもというようにしているだけ。結局横並びになるのなら国が一括して支援したほうがいい。どの地域で暮らしたいか自由に決められる人ばかりではないのだから。会社勤めの人は勤務先によってどこに住むか決めるしかないし、転勤やパートナーの都合で引っ越しする人もいる。里帰り出産や帰省して子育てしたい人もいるだろう。日本中どこでも安心して子育てができるほうが絶対いい。


日本の子育て支援に課題はあるものの、だんだんとよくなってきている。あとは今ある制度をどれだけ使いやすくできるかも重要だ。例えば育休は制度としてはあるが正社員でない人はほぼ取れないし、正社員でも育休を取ったら転勤や昇進で不当な扱いをされたりすることがある。せっかく制度があってもみんなが使えなければ意味がない。はやく社会全体で子育てを応援するという意識が高まり、日本が子育てしやすい国になることを願う。