なぜ日本ではこんなに子どもを育てづらい雰囲気があるのか

日本では子育てがしづらいと言うと、政府が高齢者ばかり優遇して子育て世代にお金をかけないからだと思うかもしれない。確かに子ども手当てを減額するなどのニュースを聞くと、それも原因の一つだと思う。だが自分はそれだけが子育てをしづらくしている原因ではないと考える。


最近は子どもが贅沢品だと言われることもある。子育てには多額のお金がかかるからだろう。じゃあ宝石や高級車を買う感覚で子どもを作ればいいのかというとそういうわけでもない。子どもはモノと違って放置することも捨てることもできないからだ。


収入が十分にあっても仕事で子どもに構う時間が少なければ子どもがかわいそうと言われる。パートナーがいなかったら子どもがかわいそうと言われる。子育てがしんどいと言ったら好きで産んだんでしょと言われる。子どもの都合で会社を休みたいと言ったら冷たい目を向けられる。子どもが嫌がってマスクをつけていなかったら親の教育がなってないと言われる。


子育てをしている人はしてない人と比べて他人から批判されることが圧倒的に多い。これが日本で子育てをしづらくしている最も大きな原因だと考える。子どもを産むことを自分で選択したのだから全て自己責任でどうにかしろというのは無茶ぶりだ。自分で選択したことは全て自己責任だと言う人は、自分が注文した料理がどんなに不味くても何一つ文句を言わず米の一粒も残したことがないのだろうか。


労働の問題もある。子育てする人が休むことで他の人の仕事が増えるということがある。ギリギリの人数で仕事をまわしていることが問題なのに、子育てする人が悪いというのは批判する対象を間違っている。攻撃しやすい人を攻撃しているだけではないか。職場が余裕を持った人数の配置をしておくべきなのに。どうしても人員補充ができずに今いる人が仕事をしなければならないら、職場がその仕事ぶんの給料を割り増しして払えばいいと思う。そうすればお金が必要な人が進んで仕事をするだろう。


子育て中の人は保育園への送り迎えや子どもの夕飯の準備をするためには残業ができない。だからといって他の人が子育て中の人の仕事を引き受け2倍残業するのは大変だし不満もたまる。長時間労働すると仕事の効率は悪くなるし、職場は残業代を支払わなければならない。それより働く人を増やして集中して仕事をやってもらい全員に定時で帰ってもらったほうがコスパがいいのではないか。普段から子育てする人しない人みんなが定時に帰れるような体制にしておくことも大切だと思う。


出産適齢期と言われている20~30代女性の総人口に占める割合はたった2020年5月現在でたった10.3%である。その中で出産する人はさらに少ない。つまり子育てする人は少数派であり少数派は批判されやすい。最近は非正規雇用の若者が増えておりお金がないために子育てをあきらめている人も多い。


近ごろは街を歩いていても子連れを見かけることは少なく子育てしている人はどんどん減っている気がする。そうなると少数派になった子育てする人が生きづらい社会になり、さらに子育てする人が減ることになるだろう。


少子化を食い止めたいなら子育てすることがもっと肯定されるような社会にしていくしかない。子育てしない人たちは自分の代わりに未来の日本を担う子どもたちを育ててくれてありがとう、子育て経験済の人たちは後輩の活躍を応援する先輩のように温かい目で見守るという感じで。


日本が子育てをみんなが応援してくれるような国になればいい。子どもの世話をすることは仕事なのだから子育てしている人に給料を払ってもいいのではないか。産みたい、育てたいという人がお金や労働や周り人の声に悩まされずに子育てできるようになればいいと思う。