好きを仕事にするって難しすぎないか

好きを仕事にしたら幸せになれる、成功できるという言葉を見かけることが増えてきた気がする。人生100年時代と呼ばれ、先を見据えた人生設計をするようになってきた気がする2019年、好きを仕事にしないのはただ人生を浪費しているだけと言う人もいる。しかし、好きを仕事にするのはそう簡単なことではないのではなかろうか。

 

まず自分の場合、好きなものが何かわからないという問題がある。休日はアニメを見たり漫画を読んだりして過ごすことが多いが、アニメや漫画を作る仕事をしたいとは思わない。なぜかというと作る側になってしまうと、どうやって視聴率を上げるか、売り上げを伸ばすかを考えなくてはならないので、純粋にアニメや漫画を楽しめなくなってしまうからだ。アニメを見たり漫画を読んだりするだけでは仕事にはならない。

 

ラーメンを食べること、泳ぐことも好きだが、他の人より飛びぬけて好きだとは言えない。『マツコの知らない世界』に出演しているような、人生を捧げるくらい一つのものを愛しているような人達でも、それを仕事にできている人はごく一部である。多くの人は趣味の範囲で好きなことを楽しんでいる。

 

好きなことを趣味でしている内は楽しいが、それが仕事になった途端に楽しめなくなるという問題もある。絵を描くことが好きでそれを仕事にしたら、休日に全く絵を描かなくなったという人がいる。アニメを見るのが好きでアニメの紹介記事を書くためにアニメを見ていたら、アニメを見ることが楽しくなくなったという人もいる。

 

イチロー手塚治虫など、好きを仕事にしている人は好きの方向性が違うということもある。たとえ野球が好きで、テレビでプロ野球を毎日欠かさずに見ていたとしても、野球選手にはなれないし、漫画が好きで1日12時間以上10年間漫画を読み続けたとしても漫画家にはなれない。たとえ好きなものがあっても、それを仕事にできないような好きもあるのだ。

 

好きを仕事にできないなら、得意なことを仕事にすればいいという意見もある。そういえば就活の自己分析は、自分の得意なことと企業で求められている力をマッチングさせるために行う。得意なことを仕事にすると、仕事で苦しむことが少なくなる。さらに努力して得意分野を伸ばし周囲から認められることで、承認欲求が満たされ仕事を好きになれる。

 

今現在これといってアピールできるような得意なことはないが、少し人から褒められたことがあるという程度のことでも、仕事としてやってみることで好きになれるかもしれない。自分の得意なことなら、仕事もやりやすいだろう。入社してから本気で取り組んで、さらに仕事ができるようになると、だんだんと仕事を好きになってくるだろう。

 

人間は今まで経験したことの中からしか、好きなものを見つけ出すことはできない。自分はまだ本当に好きなものに出会ってないだけで、これから出会う可能性も十分にある。やってみると好きになることもきっとあるだろう。今すぐに好きを仕事にすることは難しいが、まずは新しいことに恐れずにチャレンジしていくことが、好きを仕事にする第一歩になるのではないだろうか。