手塚治虫の『ブッダ』を読んで他人に親切にする必要性について考える

「情けは人の為ならず」ということわざがある。情けをかけると人の為になるだけではなく、いずれ巡り巡って自分に恩恵が返ってくるという意味である。だが他人に親切にすることは本当に自分のためになるのだろうか。自分が親切にした人が恩返しをしてくれるとは限らないし、親切にされたことを忘れてしまう人もいる。

 

手塚治虫の『ブッダ』には「木や葉や山や川がそこにあるように、人間もこの自然のなかにあるからにはちゃんと意味があって生きているのだ。あらゆるものとつながりをもって。」というセリフがある。これは、人間はありとあらゆる生き物とつながりを持って生きているため、他の生き物が生きていく手助けをしてやると、それが巡り巡って自分の助けになるということらしい。

 

そういえば他人の幸せを願うと、精神状態がよくなるという研究結果が出たと聞いたことがある。自分の家族や友人だけでなく、自分と関係のない人、嫌いな人の幸せも願うと、さらに精神によい影響を与えるらしい。他人に親切にすることで物理的な利益は得られなくても、精神的な利益は得られるということか。

 

だが自分が精神的に落ち込んでいる時は人に親切にする心の余裕などないし、「人には親切にしなさい」という言葉にイライラする時もあるだろう。他人に親切にすることが、自分のためになるとはいっても自分を犠牲にしてやるのでは意味がない。ブッダも人を直接助けることは少なく祈っていることがほとんどだったし。他人への親切は自分がしたいと思った時にで気まぐれにやるのがいいのではないかと思った。