服を買うにはかなり頭を使う

自分は服に対する興味のうすい人間だと思う。ファッション雑誌を買ったことはないし、服の用語についてはほとんどわからない。上半身に着る服のことを上の服、下半身に着る服のことを下の服と呼んでいたが、正式には何と呼ぶのか気になってついさっき調べたくらいだ。

 

上半身に着る衣服はトップス、下半身に着る衣服はボトムスというらしい。なんだそのシャレた名前は。ちょっと受け入れることを脳が拒否しているので、引き続き上の服・下の服と呼ぶことにする。

 

先日、上の服で外出用の半袖が欲しくなり買いに行った。ぱっとみて目に留まったものを試着し、気に入った服を見つける。買うことは決めたものの色違いのものがあったので、どちらにするか迷う。

 

まず家にある下の服を思い浮かべ、それらと合わせやすい色はどちらか想像する。そういえば最近買ったズボンと色が似ている気が。あまりにも似ている色だと合わせにくいな。でも他の服とは合いそうだし。

 

悩みに悩んだが値段も手ごろだったので結局2色とも買った。家に帰って先日買ったズボンと合わせてみると色が少し違っていたので安心する。自分は服に興味があるわけではないが、ある程度他人からよい印象を得られるような服を着たいと思っている。

 

服はその人の印象を決める。街中ですれ違うだけの人ならなおさらだ。自分はあまり目立ちたくないので、変な印象を与える服を選ばないように気をつけている。例えば文字入りのTシャツはキャラが濃い。「壁ドン歓迎」「ニャアアアン」「働いたら負けだと思っている」等のTシャツを着ている人を目撃したら、自己主張の激しい人だという印象を受ける。

 

他にも一般人の服には暗黙のルールがある気がする。柄+柄は難易度高すぎ、Wパーカーはうけ狙い、年齢や性別に合った服を着るべきなど。上の服がチェックなら下の服は無地、下の服がストライプなら上は無地というルールもある。上下とも無地は問題ない。原宿系の人やモデルで柄+柄を着こなしている人もいるが、変に目立ちたくない人は着ないほうがいいだろう。

 

Wパーカーは嵐の櫻井翔が見せたパーカーの上にパーカーを重ねるという斬新なスタイル。当時見た時は笑いが止まらなかったが、海外では当たり前のファッションとして受け入れられているところもあるらしい。ただ日本では受け入れられていないので、かなり難易度の高いファッションであることは間違いないだろう。

 

また年齢や性別に合った服というものがあるようだ。上下ジャージで堂々と外を歩けるのは学生だけ、30代でミニスカートはきつい、男性はズボン、成人男性の膝上パンツは見苦しい、60代でひらひらレースは違和感など。しかし40代の女優がミニスカートを履いているのはかっこいいし、男性芸人が膝上パンツを履いているのも個性的でいい。結局はその人に似合っているかどうかで受け入れられるか否かが決まるのかもしれない。

 

だが自分にはどうしても受け入れられないファッションがある。誰もが自由に好きな服を着る権利があるということを頭では理解しているのだが、心が受けつけない。見ず知らずの他人ならまだ受け入れやすいが、家族や友人がそんな服を着るようになったら、きっと距離を置くだろう。

 

その服を着ている人が目の前にいるかどうかによっても違う。テレビや写真を通してみると、そういう人も世の中にはいるのだと考えるため受け入れやすい。原宿の人が独特なファッションをテレビでアピールしていたり、海外の人が自分の好きな服を着た写真を発信したりしているのを自然に受け入れられるのは、その人が目の前にいないからだ。

 

結局は自分も世間の目にとらわれている。他人からよく見られたいという思いがあるから服を買うのに頭を使うのだ。しかし自分にとってそれはストレスではない。思うままに好きな服を着ることも素敵だと思うが、他人からよく見られるために服を着るのもいい。そんな理由で服を選ぶのも悪くないのではないか。