あの頃の大塚愛『さくらんぼ』に想いを馳せる

夏が始まる季節に、山形県に住む知り合いからさくらんぼをもらって食べた。かなり久しぶりのさくらんぼだった。さくらんぼは果物の中では値段が高い方なので、スーパーで見かけてもめったに買うことはない。通販では1キロで3000円〜9000円くらい。


さくらんぼは赤い宝石とも呼ばれていて、実に張りと光沢のあるものがおいしいといわれている。日本のさくらんぼの7割が生産されているのが山形県で、もっともメジャーな品種が佐藤錦(さとうにしき)だ。


アメリカンチェリーは、アメリカ合衆国西海岸で取れるさくらんぼのこと。アメリカンチェリーといえば濃い赤に太いヘタを思い浮かべるが、それはビングという種類で日本に輸入されるものの9割を占める。アメリカンチェリーには黄色がかったクリーム色のものもある。それは非常に甘味が強いため、1/3が鳥に食べられてしまい値段がとても高いそうだ。


そんなさくらんぼを味わっていると~愛しあうーふたーりーいーつのときーも~と急に頭の中でメロディが流れ始める。大塚愛の『さくらんぼ』がリリースされたのは2003年だった。もう今から17年も前になるのか。かなり遠い昔のことのように感じる。


あの頃はなんとなく聞き流していたが、今改めて聞くとちゃんと恋の歌だとわかる。歌詞にさくらんぼの要素も混ざっているのがいい。


〜中身がいーっぱいつまーったーあまいあーまいものでーす~。と愛しあう二人の思い出のことを示す歌詞なのだが、主語をさくらんぼにしても違和感がない。「愛し合う二人」とかけまして「さくらんぼ」とときます、その心はどちらもあまいでしょう。と謎かけのようになっている。


~とーなーりどうしあーなーたとあーたしさくらんぼ~は愛しあう2人と、さくらんぼが2コ並んでいる様子を重ねている。実際さくらんぼのヘタの強度はかなり弱いので、スーパーで2コつながった状態のさくらんぼを見たことはほとんどない。深読みすると愛しあう2人のつながりも儚いないことを示しているのかもしれないと思った。


昔の歌をきくと、一瞬であの頃に想いを馳せることができる。じいちゃんばあちゃんが昔好きだった歌をきくのにはこういう理由があったのか。歌の力ってすごいものだ。『さくらんぼ』を聞きながらさくらんぼを味わうのも悪くないと思った。