スイカが割れた

ある日畑に行くとスイカが割れていた。なんだなんだ、ワルガキが夏休みの思い出にスイカ割りでもしたのかと思ったがどうやら違うらしい。スイカが割れているのはうちの畑だけではなかったからだ。スイカが割れた原因は自然現象だった。

 

イカが割れるのは珍しいことではないが、今年はいつもと比べて割れたスイカが多かったそうだ。今年は例年と比べて梅雨に入るのが遅く、ここ何日かは晴れの日が続いたあと急に雨が降った。そのためスイカの他にトマトやキュウリも割れた。 

 

物は熱すると膨張し、冷やすと収縮する性質がある。理科の実験でぎりぎりリングの穴を抜ける金属の球を火で熱すると、球は穴を通らなくなるというのと同じ原理である。晴れの日が続いて温められ大きく膨らんでいたスイカは、雨が降って冷やされ急に縮んだ。

 

イカは急な大きさの変化に耐えられなかったため割れたのだろう。トマトやキュウリなど皮の薄いものなら割れやすいのはわかるが、スイカのような皮の厚いものまで割れるなんて驚きだ。

 

割れて見た目が悪くなったとはいえ味は変わらないので家で食べる分には困らない。傷みやすいのでさっさと食べてしまわないとはいけないが。だがスイカ農家で生計を立てている人はそういうわけにはいかない。割れたスイカを売りものにすることはできない。今スーパーに並んでいるのは生き残ったスイカたちなのだ。

 

晴れの日が続くと水をたくさんやらなければならなかったり、雨の日が続くと根が腐ってしまったり、強い風が吹くと実が落ちてしまったりと、農業は天気にかなり左右される。そう考えると天気という理不尽なものに振り回されてもめげずに農業をしている人たちは尊敬せざるを得ない。