よいものが安く手に入る恐怖

先日、某ファストファッションの店に夏服を買いに行ってきた。驚いたのはその安さだ。ちょっといいなと思って見たズボンが980円、ポーチにもなるパーカーが1980円だった。

 

先月くらいに安いと思って買った半袖がさらに値下げられていた。590円でも安いのに390円だと。値下げの前に買ってしまって損をしたという気持ちよりもここまで安く売って利益がでるのかという心配の方が大きかった。

 

よいものを安く手に入れられることは、消費者の立場からしたらとてもうれしいことだ。給料が少なくても買い物を楽しむことができるし、お金がないからといって卑屈になる必要がない。しかし働く立場から考えると、よいものが安く売られることは恐怖でしかない。

 

390円の服を売ったからといって、390円の利益があるわけではない。服の金額には材料代や、縫製代、運送費、店舗維持費なども含まれている。大量生産でコストを抑えているにしても、390円の服を一体いくつ売ったら関係スタッフが生活していけるだけのお金を稼げるのか。

 

まあ全国展開している店だし、そんなことは自分よりも本部の人の方がわかっていることなので、そんな心配をする必要はないのかもしれない。と思って調べてみると売り上げは順調に伸びているが、営業利益は減少しているらしい。全然大丈夫じゃなかった。

 

売り上げが伸びても営業利益が上がらなければ、スタッフの賃金は上がらない。消費者が得をすればいいと思うかもしれないが、そのスタッフも別の商品の消費者なのである。収入の少ない人が増えると自分の働く会社の商品も安さを求められ、自分の賃金も下がることになるのではないだろうか。 

 

つまり、よい商品を安く買う→働く人の賃金が下がる→さらに安い商品が求められる、という悪循環がおきるわけだ。よい商品を作ると高く売れるからこそ、さらによいものが作られてきたはずなのに、よいものを作った人に見返りがないのはおかしい。

 

よい商品を高く買う→働く人の賃金が上がる→高くてもよいものを買うようになると、お金がまわり日本経済はよくなるはずだ。企業は安さで勝負するのではなく、よいものをいかに高く売るかを考えていかなければならないと思う。

 

個人が経済をよくするためにできることといったら、収入を増やしてよいものにしっかりとお金を使うことだ。今は収入が少なく安いものばかり買っているが、早く転職か独立してお金を稼ぎ、よいものを高く買うことで日本経済の発展に貢献したいと思う。