別居婚っていいんじゃない

結婚した二人は同居するものと昔は思い込んでいた。祖父母や両親など、自分の身の周りの結婚している人たちはみんな同居していたからだ。


そして社会人になって別居婚というものの存在を知る。職場の先輩はパートナーの職場が県外なので別居しており、夫婦仲は良好だという話を聞いた。通勤の関係で平日は一人暮らし、週末になるとパートナーと子どものいる家に帰るという人もいるという。


とはいっても別居婚をしている人はまだまだ少数派である。別居婚をするのは転勤や親の介護、夫婦仲が悪いなど、どうしようもない理由があるからという人がほとんどだ。仲が悪いわけではないが、お互いに距離をおいて付き合いたいから別居するという芸能人はいるようだが。


このあいだ結婚した先輩も同居を始めたという話を聞いたところなので、やっぱり結婚すれば同居するものというイメージがある。だが結婚した夫婦は必ずしも同居しなければならないわけではない。


夫婦が同居することは民法で定められてている。だからといって別居している夫婦が取り締まられることはない。双方の合意があって別居しているならなんの問題もないし、やむを得ない事情があって別居している人もいるからだ。


そもそも民法で決まっているといっても罰則がないので、違反しても警察に捕まることはない。関係があるのは離婚裁判のとき、別居=婚姻関係の破綻としてみなされるくらい。当分離婚する予定はないし、離婚するにしても円満離婚だろうという夫婦には関係ない。


別居にはメリットも多い。一緒に住んでいるといびきがうるさいとか足が臭いとか、相手の悪い面がいろいろと見えてしまう。特に清潔感についてはその人その人の育ってきた環境や考え方によってかなり異なるため受け入れがたいことがあったりする。だが別居しているとその心配はない。


別居していれば家事分担でもめることもないから日常的に相手にストレスを感じることもないし、離れて生活していることで会うときに新鮮味を感じることができる。ストレスが少ないと会ったときにお互いに優しくもできるだろう。


別居すると生活費が高くなってしまうというデメリットかあるが、それは二人とも一人暮らしの場合である。一人暮らしどうしなら同居すれば家賃と光熱費を折半できるため節約になる。だが実家暮らしで家賃も光熱費も親に払ってもらっている人なら、パートナーと同居することでむしろ生活費が高くなる。二人とも実家暮らしならお互いにそのままの生活を続けたほうが生活費は安くなるだろう。


結婚届を出して籍を入れていれば、別居していても住民税と所得税の扶養制度が使える。収入が定められた基準より少ないパートナーの生活費を出している人の税金が安くなるというものだ。ただしこの制度は住民票を同じ世帯にするだけの事実婚では使えない。事実婚でも年金と健康保険の扶養制度は使うことができる。


二人だけなら別居したほうがメリットか多そうな気がするが、子どもを育てるなら同居したほうがいいと考える人も多い。別居婚で子どもを育てると、片方の負担が大きくなりがちというデメリットがある。特に小さいうちは目が離せないので一人で子どもを育てるのはかなり厳しい。子どもを育てるときに周りにいる大人は多いほどいい。一人だけで24時間子どもと向き合っていると疲れ果ててしまう。


パートナーが子育てに協力的なら同居するのは大きなメリットになる。だがパートナーが非協力的なら同居しても意味がない。家事・育児を丸投げしてくるようなパートナーならむしろ仕事が増えるので別居したほうがいい。パートナーよりも両親や兄弟姉妹が子育てに協力してくれそうという人は実家に行ったほうがいいだろう。


パートナーに子育てに協力したいという気持ちがあっても仕事が忙しくて休みのとき以外は協力できないという人がいる。そのような場合でも別居したほうがいいかもしれない。パートナーが休みの日だけ通ってくるようにすれば、家にいるのに家事も子育ても全くしてくれないという不満を持つこともない。


結論として別居婚は向いている夫婦にはとてもいいんじゃないかと思う。やむを得ない事情がなかったとしても、お互いに別居のほうがメリットが多いなら別居婚すればいい。世間の声に惑わされずお互いにとってちょうどいい結婚の形を探していきたい。