働き方改革について

電通職員の過労死のニュースから多くの企業が残業をさせないようになってきた。しかし仕事量は変わらないため、仕事を終わらせるためには昼休みや持ち帰りで仕事をするしかない。そのぶん今までもらっていた残業代がなくなり給料が減ってしまう。と労働者にとっては残業がなくなったことが全くプラスにならないというケースもあるようだ。


最低労働賃金はときどき上がっている。だがそれは最低労働賃金以上で働いている多くの人には全く影響がない。だが最低労働賃金が上がったことで、最低賃金でパートとして雇っていた人を自営業扱いにするという悪徳企業もある。このような待遇の労働者は名ばかり事業主と呼ばれ、パートの時と全く仕事は変わらないのに交通費は支給されなくなり、有給休暇がなくなり、最低労働賃金も適用されなくなる。


裁量労働制は成果によって給料が決まるということで今は一部の専門性がある労働者にしか採用されていない。しかしこれが全ての労働者を対象にすると、営業は売上が出せるまでタダ働きさせられることになるし、なかなか達成できないようなノルマを設定するなど悪用する企業が出てきそうである。それに事務やサービス業など成果がわかりにくい仕事はどのように給料を決めるのか。


そういえば同一労働同一賃金がゆうちょ職員の裁判で認められたことがニュースになっていた。同じことをしていれば同じ給料をもらえるという考え方はいいと思う。だがそれは違う仕事をしていれば給料に差があってもいいということにもなる。契約社員に新しい仕事を任せ、うまくいかなければ契約を切るようにすれば人材を安く使い捨てられる。せっかく労働者にとって良さそうな制度ができても、いつのまにか雇用側に都合の良いように悪用されていることが多いので、そうはならないことを願う。


子育てする人にとって労働環境の改善は切実な問題である。子どもが幼いうちは子どもの病気や怪我で、親が仕事を休まなければならないことがしばしばある。そんなとき職場で休んだ人の仕事をカバーしなければならなくなった人が、休んだ人に文句を言ったりする。だがそれは理不尽というものだ。


その人が休んだ人の仕事をカバーしなければならなくなったのは、ギリギリの人数で仕事をまわしていることが原因である。その原因を作ったのは職場だ。職場が余裕を持った人数の配置をしていないことが問題である。休んだ人が悪いわけではない。


そうはいっても余分に人員を確保しておく余裕がない、納期が迫っていてすぐには人員補充できないという職場もあるだろう。そういう場合、今いる人に休んだ人の仕事をしてもらわなければならないなら、職場がその仕事ぶんの給料を割り増しして払えばいいと思う。タダで仕事をさせられるのは嫌でもお金をもらえるなら進んで仕事をする人がいるはずだ。時間に余裕のある人とない人で仕事を受け渡しできるような仕組みがあればいいと思う。


とはいっても残業ができない人の代わりに他の人が仕事を引き受け、2倍残業するのは大変だし不満もたまる。長時間労働すると仕事の効率は悪くなるし、職場は残業代を支払わなければならない。それより働く人数を増やして集中して仕事をやってもらい、全員に定時で帰ってもらったほうがコスパがいいのではないだろうか。普段からみんなが定時に帰れるような体制にしておくことも大切だと思う。


これから少子高齢化が進んでいって、労働力が不足すると言われている。それを解決するためには小さな子どもを育てる親や、定年を過ぎた高齢者など長期間働くことのできない人が働けるようにすることが大切である。さまざまな条件を持つ人が働きやすい環境を作ることが、働き手を増やすことになる。働き方改革少子高齢化の問題を解決することになるんじゃないかと期待している。