合気道について語ってみる

合気道を知ってるだろうか。一言でいうと小よく大を制する護身術だ。大正末期~昭和前期に始まった。アニメやドラマだと最強の技扱いされていることもある。それは体力や体格に関係なく使える技だからだろう。小柄な合気道創始者が力士を投げ飛ばしたというエピソードもある。

 

合気道創始者、植茂盛平は身長156㎝体重75㎏だった。ちなみに同じ身長と体重の芸能人を検索するとやしろ優が出てきた。といっても植茂盛平の画像を見る限り、同じ体重であっても脂肪と筋肉の割合がかなり違いそうだ。実際に盛平氏は軍隊にも所属した経験があり、かなり屈強な人物であったようだ。

 

植茂盛平は「突如大地が鳴動し黄金の光に全身が包まれ宇宙と一体化する」幻影を見るという神秘体験をしたことがあったらしい。その後、彼は戦地で銃撃を避けたこともある。戦場で白い光が見えそれを避けることで攻撃を避けられたそうだ。これらの盛平氏の経験から合気道は精神性をかなり重視したものとなっている。

 

合気道の流派にはいろいろあり合気会養神館合気道、心身統一合気道、日本合気道協会などがある。流派によって技も少しずつ異なるのだが、呼吸法や氣の力はどの流派でも取り入れられている。正直氣がなんたらという説明を聞いた時はうさんくさいと思った。だが立っている時に足の指のつけ根あたりに重心をおいたり、臍下に意識を向けたりすると押されたときに倒れにくかったりしたので全く役に立たないというわけではなさそうな気がする。

 

合気道では基本的に道着の上に袴をはく。卒業式で履くようなスカート状のものではなくズボン状のもの。袴をはく理由は足の動きが相手から見えないようにするためだとか。だが動いていると袴がだんだんとずり下がってきて裾を踏んでこけそうになったり、夏は暑かったり、シワにならないようたたむのが面倒だったりと、わりとマイナス面も多い。

 

合気道の技は投げ技と固め技、関節技が中心で、蹴り技や締め技は基本的にない。多人数を相手にしたり剣や短刀、杖を利用したりする技はある。投げ技も含めて自分から相手に攻撃をしかけることはなく、すべて相手の攻撃に応じる技である。これが護身術といわれる所以である。相手の動きを利用して倒したり抑え込んだりするだけなので相手を傷つけることはない。とはいっても関節技はきめられるとかなり痛かったりする。

 

合気道には試合がない。代わりに演武会がある。戦って勝ち負けを決めるというものではなく、決められた型を審査員の前で見せて技の完成度を競うものだ。技を受けるほうは始めから決まっていて技を受けに行くためヤラセだといわれることもある。まあ柔道のようなイメージを持っていると違和感があるのだろう。演武会では二人組でする技だけでなく、一人で木剣や杖を使った技も披露する。柔道や剣道の大会というよりは、新体操やフィギュアスケートの大会のイメージに近い。

 

勝ち負けのない合気道は戦うという意思を持たない。師範の先生が不審者に襲われたときは「タスケテー」とまず大声をあげなさい、走って逃げなさいと言ってたことが印象に残っている。師範は40代男性で体格もよかったのでそんな人にタスケテーと言われて助けに行ける人なんていなくね、とか学生どうしで言ってたが戦いを避けるためにはそうしたほうがいい。

 

ぶっちゃけ師範レベルだったら不審者を撃退できそうな気がするが、学生レベルだったら戦わずに逃げたほうが圧倒的に安全である。練習する型の通りに不審者が攻撃してきてくれるわけではないし。実戦で合気道を使えるようになるには、相手のさまざまな攻撃にいつでも自然に対応できるようになるまで練習を重ねないといけないと思う。

 

そんな合気道がオリンピック種目に選ばれることはないだろうが、もっと世界に広まればいいと思う。