ヨーグルトのフタが進化している

ある日ビヒダスヨーグルトを食べていると、フタの裏にヨーグルトが全くついていないことに気がついた。4個バックで正方形に並んで上の部分だけがくっついており切り離せるタイプのものだ。


ヨーグルトの容器が、家にたどり着くまで奇跡的に傾くことがなかったためフタにつかなかっただけかもしれない、と思いその時はあまり気にしなかった。だが次の日同じ商品を食べた時にもフタの裏にヨーグルトが全くついていなかったのだ。


もしかしてこれは偶然ではない?と思いスプーンですくったヨーグルトをわざとフタの裏にのせてみる。そしてフタを傾けるとヨーグルトは滑り落ちてカップの中に入り、その後にはなにも残らなかった。重力だけの力でフタの裏にあったヨーグルトはなんの痕跡も残さずに取り除かれたのである。


明らかに今までのヨーグルトのフタとは違う。自分の知らない間にフタが進化していたことにこのとき初めて気づいた。自分がフタの裏についたヨーグルトをもったいないと思い、取り除こうとするタイプの人間でなかったら気づくことはなかっただろう。自分にとってフタの裏についているヨーグルトをそのまま捨てることは、自動販売機で釣り銭を取り忘れるくらいショックな出来事だ。


おそらく自分と同じようにフタの裏についたヨーグルトをもったいないと思い、ヨーグルトを製造する会社にクレームを言った人がいたのだろう。フタの裏のヨーグルトを子どもが舐めて行儀が悪いからどうにかしてほしいというようなクレームがあったのかもしれない。それを解決するためにこのフタが開発されたのだ。企業努力がすばらしい。


しかもそれだけすばらしい開発をしていながら全くアピールしていない。パッケージのどこにも「フタの裏につかない」とは書いてない。日本人の美徳とされるような奥ゆかしさを感じる。納豆の蓋を2つに折るだけでタレを入れられるようになったことはパッケージで派手にアピールしているのに、ヨーグルトは控えめである。


もっとアピールしてもいいのではないか、そう思って検索してみるとフタのことが森永のホームページで紹介されていた。ヨーグルトのフタは水を弾く蓮の花の構造を参考にして作られたそうだ。またYouTubeでフタと同じ素材のシートに絵の具を垂らすときれいに弾くことがわかる動画が公開されていた。


どうやら自分が気づいてなかっただけらしい。しかも既に2011年からくっつかないフタは使われていたという。フタの裏にヨーグルトがつくことがないと手が汚れないし、人目を気にしてせっかくのヨーグルトを無駄にすることもなくなる。このすばらしい発明をもっと広めていきたいと思った。