職業訓練校のすすめ

職業訓練校とは無職で職を求めている人のための学校である。学校に行くというと多くの場合は授業料が必要だ。大学の授業料なんか国立でも1年間で50万円超とやばいくらい高い。だが職業訓練校は授業料がかからないどころかお金をもらいながら通うことができるのだ。


お金をもらいながら学校に行けるなんてそんなうまい話には裏があるに違いない、なんてことはないので安心してほしい。無職には夢も希望もないと思っていたが、無職であるからこそ通える夢の学校が職業訓練校なのである。


前職を退職して失業保険の手続きのためにハローワークに通っているときに職業訓練校の存在を知った。就職するために必要な知識や技術を身につけることを目標としている学校なのだと。コースはいろいろある。地域や時期によって違いはあるが、自分が見たときは溶接や電気設備、住宅リフォームなどのコースがあった。


自分は将来的に在宅でできる仕事がしたいと思ったため、パソコン関係のコースを探した。ホームページを作るコースがいいなと思っていたのだが、残念ながら希望者が少なすぎて開講されなかった。みんなもっと受けようぜ。他に5ヶ月間でWord、ExcelPowerPointAccess、ITパスポートの勉強ができるコースを見つけて申し込んだ。


授業に使う9冊のテキストは合計2万円ほどかかったが、遅刻せずまじめに通っていれば受講手当てでカバーできる。自分で準備しないといけない物は筆記用具くらい。Microsoft Office SpecialistやITパスポートなどの資格をとりたいなら受験料は必要になる。


もし貯金がゼロでも職業訓練校に行けば失業手当てと同じ額の手当てがもらえるのでそれでカバーできるだろう。断定できないのは失業手当ての額が人によって異なるのと、失業後の年金と健康保険の負担がかなり重いからだ。失業手当ては前職の収入や働いていた期間によって、1日分の金額と支給日数が決められる。


職業訓練校に通っている期間は失業手当てと同じ金額がずっともらえるのは大きなメリットだ。自分は前職で雇用保険に入っていた期間が1年ちょっとしかなかったので失業手当てを3ヶ月しかもらえないことになっていたが、職業訓練校に通ったことで5ヶ月分もらえた。


学校に通うとなると気になるのが先生だ。職業訓練校はハローワークが実施しているのだが、ハローワークの職員が授業をするとは限らない。自分が参加したコースは委託された民間の学校が実施していた。自分の今まで関わった行政の職員のほとんどは話がつまらない上にわかりにくかったので少し警戒していた。行政職員のする講義は基本無料なのでおもしろくする必要がないためかもしれないが。申し込んだコースの先生は長年授業をしているベテランで、話もおもしろくてよかった。


授業は朝から夕方まで。無職になるとどうしても決まった時間に起きる必要がないため生活リズムが乱れる。だが訓練校に通っていると強制的に生活リズムが整えられる。自己管理がしっかりできている人にはメリットにはならないが、自分のような楽な方にすぐに流れるタイプの人間には大きなメリットだ。


同じ教室で授業を受ける無職の仲間もできる。社会人になってから仕事関係の知り合いはできても無職の知り合いはなかなかできない。だが職業訓練校に通っている人はもれなく全員無職だ。仕事に関係ない人との関わりは新鮮だし、無職なのは自分だけではないと変に安心する。


職業訓練校に通っていると時間がなくなって転職活動をしにくいのでは、と思うかもしれないがそんなことはない。職業訓練校は就職を目指すための学校なので転職活動は歓迎される。面接があるからと言えば堂々と休めるし、半日の休みなら手当てももらえる。自分のいたコースでは途中で就職、起業して卒業した人が6割だった。


働き始めてから大学に行く社会人学生が話題になっていたことがあったが、それはお金と時間に余裕がある人向けである。どうしても大学でしかできないことを学びたいという人は、がんばって貯金するしかないが、無職になったのをきっかけに学校に行ってなんか勉強したいという人に職業訓練校はおすすめだ。無職であることの数少ないメリットなのでぜひ有効活用してほしい。