わかものハローワークは普通のハローワークより明るかった

過去に無職だった1ヶ月間わかものハローワークに通っていた。わかものハローワークとは正社員経験の少ない若年者を対象としたハローワークである。自分が通っていたところでは普通のハローワークの向かい側にあった。


まず雰囲気が明るい。普通のハローワークは灰色一色といった感じだが、わかものハローワークはカラフルなイメージ。たぷん照明やインテリアのせい。


職員は女性や若い人が多く、キャリアコーディネーターや臨床心理士など資格を持っている人もいる。職員全員がいい人というわけではなく紹介状を出すのを渋ったり、前職のことを話したらダメ出ししてきたりする人もいる。それでも普通のハローワークよりは人当たりがよくやる気のある職員が多い気がした。


求人検索用のパソコンは数は少ないが空いているので気軽に使うことができるし、職員が履歴書の添削や面接のアドバイスもしてくれる。机と椅子があるスペースがあり、そこで履歴書を作ったり就活の本を読んだりできるのがいい。就活用の書類を作るためにノートパソコンの貸し出しもできる。


1番の魅力はセミナーが充実していること。よくあるのは面接対策とグループワーク対策。面接練習は録音や録画で確認して一人でできないこともないが、グループワーク練習はどうあがいても一人では無理なので重宝していた。


職業適正検査GATBをやるセミナーも。50分のテストを受けると、後日自分の適正に合った職種がわかる。GATBは転職サイトなどでよくある質問にYesかNoで答えていく心理テストのようなものではなく、計算したり、円の中心にすばやく正確に点を打ったり、形の同じ図形を選んだりと能力を試すような問題がいろいろあっておもしろかった。制限時間内にどれだけたくさんの問題をこなせるかというものなので、終わったときには疲労困憊だったが。
 

結果、自分の希望していた職種の適正はそこそこで、和菓子職人、デザイナー、文系の研究者など意外な職種の適正がすごいことがわかった。まあそのとき希望していた職種と今就いている職種の適正はどちらもそこそこだったのに、今の職種のほうが自分にはだいぶ合っているのであまり当てにはならないかもしれないが。


いろんな会社で働く人から話を聞くセミナーもあった。残業だらけの働き方に不満のあったホテルの平社員が会社を変えるために出世していき総支配人になったとか、吉本興業リクルートと給料は超いいが働き方がブラックなところで何年か働いた後に地元で介護の会社を立ち上げたとか。短期目標より長期目標を持つことが大切とか、働きたい場所がなければ自分で作リ出せばいいとかよいことも言っていたし、なかなか濃い話を聞けてよかった。


入社して2、3年目の人たちの話を聞くセミナーも。合同就職説明会でいつも人のいない運送会社のブースに行ってみたら人事の人がいい笑顔だったのでこの一社だけ受けて合格し入ったとか、コールセンターに腰掛けのつもりでバイトで入ったら休憩室がきれいなことに気づいて試験を受けて正社員になったとか。まじめに就活しなくても正社員になれたという話には勇気づけられた。


セミナーのほとんどは1日で終わるものだが、就活道場という12日間の集中講座もあった。メンバー15 人全員で就職を目指す。A4用紙だけを使ってどれだけ高いタワーを作れるかグループで競いあったり、アポをとらずそこらへんの会社に突撃訪問して話を聞かせてもらったり、10企業の採用担当者の前で3分間の自己アピールをしたり。わりとアグレッシブに動くことを求められるので内向的な自分にはしんどいところもあった。人前で話すことに慣れたのはよかったと思う。


後半には合同面接会もあった。自分は条件に合う求人がなかったが、ここで内定が決まったメンバーもいた。海上自衛隊からホテルマンになった人とかブラック企業から老舗の旅館で働くことになった人とか。集中講座の期間中に別のところで就職先が決まった人もいた。市役所の日々雇用職員から別の自治体の公務員試験に合格した人や、保険会社の営業からRIZAPに行った人など。めでたいことである。


結局無職だった1ヶ月のうち平日のほとんどはわかものハローワークに通っていた。無職になってずっと家にいるとダラダラ過ごしてしまうため、通うところがあるというのはいい。一緒に就活する仲間がいるというのもよかった。無職で一人で就活するのがつらいという人にはわかものハローワークをおすすめしたい。