大学に行く意味ってなんだろう

就活の面接で「あなたはなんのために大学に行きましたか。」と聞かれたら「仕事に必要な能力を身につけるためです。大学で学んだこのようなことを御社で活かせます。」と答えていた。しかしそれは建前であり本心ではない。


大学に行った本当の理由は、自分の周りの人がみんな大学進学を目指していたからである。俺は勉強が嫌いだーだけど絶対合格してやるぜー待ってろキャンパスライフゥゥゥゥというほどのやる気はなかったが。大学って楽しそうだし、勉強するのそんな嫌いじゃないし、高校出てすぐに働きたくないし、みたいな理由で受験勉強をしていた。


そしてセンター試験の結果が悪かったため、仕方なく第5志望くらいの大学に入り卒業した。だから大学では本当に自分がやりたかったことを学んだわけではない。一応在学中に2つ国家資格を取ったが、今は全く関係ない仕事をしている。こうなると大学に行く必要はあったのか微妙なところである。


就活をしていたときも大学生でよかったと思ったことはない。田舎の国立大学だったからか就活の支援は何もなかった。それに学校に来る求人もほぼないので、自力で探しださなければならない。求人サイトでは地元で転勤なしの求人を探しにくかったのもあって求人を探すだけで疲れ果てた。面接の練習をするために部屋を予約し、面接官役をしてくれる先生と生徒を自力で集めたりもした。


就活に関してはほぼ一人で戦っていたような気がする。同じ時期に高卒で就職した知り合いは、学校に求人がいっぱい来て面接を3、4回受けただけで就職が決まったと言っていた。他の人も同じような感じだったと。高校で就活したほうが大学に行くより楽だったようだ。あれ、なんで大学に行ったんだっけ。


就活での大卒のメリットといえば、高卒ではできない仕事ができることである。例えば医師、歯科医師、獣医師は大学を卒業しなければ国家試験を受験できないため、大卒でないとなれない職業である。また高卒を受け入れてない企業もある。自分がみた求人で高卒を受け入れてないのは、一部の銀行と保険会社くらいだった。職種ではMRや研究職、塾の講師は大卒以上という求人があったが。公務員になるなら高卒と大卒は試験区分が違うだけなので問題ない。


大卒と高卒では初任給に差があるところが多いが、ちゃんと昇給制度のある企業なら同じ年齢になったときの給料は同じくらいである。高卒は昇進しにくいため給料が上がりにくいという話は聞いたことがあるが。管理職になったら残業代がつかなくなるため、かえって給料が減ってしまった人もいる。管理職が向いてなくてストレスを溜め込んでしまう人もいるので、昇進が喜ばしいことだとは言い切れない。


よく大学進学を薦める理由としてあげられるのが、高卒と大卒の生涯年収の差を示すデータである。高卒のほうが4年長く働いているはずなのに、なぜか生涯年収が低いという。その理由ははっきりしないが、大卒のほうが昇進しやすいからではないかと言われている。


はたして大卒だと昇進しやすいというのは事実なのだろうか。大学といってもピンからキリまであり、大卒の人が優秀とは言いきれない。そもそも優秀の基準も大学と職場では全く違う。大卒であることからわかるのは勉強の成績だけであり、偏差値の高い大学に行った人は仕事ができるとも限らない。それに働き始めたら高卒も大卒も関係なく同じ仕事をしている。


最近は転職する人が増え、学校を卒業してすぐ就職した会社に定年まで勤める人も減ってきている。というか大企業でも業績悪化から早期退職を募ったりしているので、自分が定年まで勤めたいと思っていてもできなかったりする。もはや1つの会社にいれば必ずしも収入が増えていく時代でもない。


転職を繰り返して年収を上げていくなら大卒である必要はない。転職するときに見られるのは職歴=今までどんな仕事をしていたか、であり学歴はほとんど見られないからだ。だからこれからの時代、就職のために無理して大学に行く必要はないのではないかと思う。国立大学でも入学金と授業料だけで250万円くらい、私立大学なら平均400〜550万円かかる。大学を卒業したからといってたくさん稼げるとも限らないし、それだけ余分に稼ごうと思ったらいったい何年働けばいいのか。大学にかかる費用は大卒なら就職してから取り返せるという甘い言葉には惑わされないほうがよさそうだ。