十月十日(トツキトオカ)ってまぎらわしい

十月十日(トツキトオカ)という言葉を聞いたことがあるだろうか。十月十日は妊娠してから赤ちゃんが生まれるまでの期間を示す言葉だ。だが言葉のとおり10ヶ月と10日として捉えてはいけない。


平均的に妊娠してから出産するまでの期間は40週=280日である。1ヶ月の日数は28〜31日で平均して30.4日てあり、1ヶ月を30日とすると280日は9ヶ月+10日になる。これなら九月十日(クヅキトオカ)といったほうがわかりやすい。


1ヶ月を28日としても10ヶ月。出産までの期間はどう考えても10ヶ月と10日にはならない。なのになぜ十月十日(トツキトオカ)というのだろうか。


一説にこんな話がある。7日✕4週で1ヶ月を28 日とすると10ヶ月で280日となる。そして初産なら遅めに生まれてくることが多いため、あせらないようにという意味で+10日する。すると10ヶ月+10日となったことから十月十日という言葉ができたというものだ。


1ヶ月といわれて4年に1度しかない28日を思い浮かべる人はあまりいないだろうし、初産にだけ配慮して+10日するのも納得がいかない。十月十日という言葉を知っていても正しい意味を知っている人は少ないのではないだろうか。


十月十日を誤解している人が存在していることがわかるこんなエピソードがある。

・11月10日生まれの子がおまえの両親正月にエッチしたんだなとクラスメイトにからかわれる 

・妊娠予定日が結婚した日から9ヶ月目だった妊婦ができちゃった婚じゃないのかと義父母に責められる


どちらも十月十日を暦の10ヶ月+10日だと勘違いしたやつが言っていることがわかる。妊娠してから出産するまでの日数は平均280日だが、人によって少しずつ異なるので、誕生日からHした日がわかるはずはない。そもそも妊娠予定日を計算するときは最終月経開始日を使うことが多いし。


これらは十月十日という言葉がもたらした弊害だ。まあこんなことを言うやつのモラルが欠如しているのが一番の問題ではあるのだが。妊娠・出産にはパートナーとの関係や健康状態などどうしてもデリケートな問題がからむので、からかいの対象にしていいものではない。そういうことを言ってくるやつがいたら知識のないかわいそうなやつだと哀れみの目で見るようにしたらいい。


ちなみに妊娠予定日を簡単に計算する方法がある。最近はインターネット上に最終月経(生理)開始日を入力するだけで計算できるツールもあるが、暗算してもいい。最終月経開始日とは一番最近にあった生理が始まった日のこと。


まず最終生理開始日の月から3を引くか9を足して1~12の正の数を得る。そして日に7を足す。日が月末日を超えたら次の月へ繰り越せばいい。ゴロ合わせは「産(3)婦さんが加(9)わった神セブン(7)」


最終月経開始日を1月1日として計算してみると、月は1に9を足して10になる。日は1に7を足すと8なので、妊娠予定日は10月8日となる。


日本では電車でマタニティマークをつけていたら舌打ちされたり、子どもの声で近所トラブルになったりという話を聞くため、まだまだ海外と比べて子どもを育てにくいイメージがある。十月十日や妊娠・出産の正しい知識が広まり、もっと子どもを生み育てていきやすい社会になることを願う。