マスクを通行手形のように扱うのやめませんか

一時コロナ感染者が減っていた時期もあったが、また増えてきた。観光地に遊びに行く人が増え人間の移動が活発になってきたからか、寒くなり感染症が流行りやすい時期になってきたからか。


コロナが話題になってから徐々に増えてきているのがマスクをつけないと入店不可の店である。三井住友銀行アニメイトはかなり前からそのようにしていたが、それに映画館や飲食店、スポーツジムなどが加わってきている。


マスクをつけないと入店不可の店は常にマスクをつけてないといけないのかというと、そうとも限らない。飲食店では食事をするときにマスクを外す。店内は席と席の感覚を空けたり、対面の席の間にアクリル板を置いたりしている。スポーツジムではストレッチや筋トレをする時はマスク着用だが、水泳やランニングマシンなど有酸素運動をするときはマスクを外していい。


飲食店の場合はマスクをつけているのは店に入るときと会計するときだけ。スポーツジムで有酸素運動をするなら受付を通過するときだけマスクをつけることになる。このような状況でマスクをつけないと入店不可にどれだけの意味があるのか疑問に思う。


もちろん客が店を選べるように、店にも客を選ぶ権利があるので、マスクをつけないと入店不可というルールを作ってもいいことになっている。どうしてもマスクをつけたくない人はその店に行かなければいいのだから。ただそんな店がどんどん増えていくとマスクをつけていない人は外出できなくなってしまう。


マスクをつけたくないというとワガママのように思うかもしれないが、皮膚過敏症や呼吸器系の病気でマスクをつけられない人もいる。明確な診断がされていなくても、マスクをつけると酸素不足で頭が痛くなったり顔の皮膚が荒れてボロボロと剥けたりする人もいる。そういう人たちはマスクをつけないと入店不可の店が増えると生活しづらくなってしまう。


厚生労働省の見解では人が密集した環境ではマスクをつけることを推奨している。しかし屋外でソーシャルディスタンスが確保できている場合はマスクつけることを推奨していない。屋外ならOKということは室内でもちゃんと換気できている環境ならOKということだ。


それに従うならドアや窓を開け放した混雑していない店でマスクをつける必要はない。券売機で注文と会計ができる飲食店や、カードリーダーをかざすだけで受付できるスポーツジムなら店員と接触することもないのでなおさらだ。


そもそもマスクをつけること=感染防止とはいえない。マスクをちゃんとつけていても感染する事例は多々ある。コロナの前は大学病院でも病棟によってマスクをつけていたりいなかったりだった。医療従事者の感染を防ぐためというよりは、患者に安心感を与えるためにマスクをつけていた。


最近言われているのは他社への飛沫感染を防ぐためにマスクをつけろということ。それなら必ずしもマスクである必要はない。しゃべるときだけタオルを口にあてるとかでもいい。平安貴族のように扇子で口を隠してしゃべるのとか雅でいいんじゃないだろうか。


なんでもマスクマスクと言うのではなく、マスクをする以外の別の方法も受け入れたらいいと思う。そもそもしゃべらないで口を閉じているときにマスクをする効果はあるのだろうか。


友達どうしでしゃべりながら買い物をするならともかく、一人で買い物をするなら基本的に声を出すことはない。声を出すとしたら店員に品物の場所を聞くときとレジで会計するときくらい。品物を自力で探し出してセルフレジで会計を済ませれば、店内で一言も発することなく買い物ができる。


店員の感染が怖いなら対人業務は全て機械に任せてしまえばいい。店内の案内はペッパーくんに。ペッパーくんはプログラミング次第で自由に動かせるし駅の案内にも利用されているくらいなので、どんな店でも使えるだろう。会計は全てセルフレジにしてしまえばいい。そうすれば現金か電子マネーかクレジットカードが聞くために店員が声を出す必要はなくなる。店員は2メートル以上離れたところに待機しており問題があったときだけ対処すればいい。


病院やスポーツジムなどの受付も全て機械に任せられる。機械がまだ設置されてないところなら仕方がないが、すでに機械があるのに受付に常に人間がいる店もある。店員も客もお互いに感染のリスクがあるのになぜ人間をおいておくのか。機械には対応できないことやトラブルがあったときだけ人間が奥から出てくるようにしたらいいのに。


ちょっと話がそれてしまったが自分が主張したいのはマスクをつけないと入店禁止というのはいかがなものかということだ。入り口を通るときだけつけていればいいのなら、まるでマスク=通行手形だ。本気で感染を防ぎたいのなら、店内に人を入れるべきではないし、人間の移動を止めるべきだ。経済活動のためにといいながら中途半端なことをしている場合ではない。


入り口だけ検問みたいにして店内でマスクなしで喋っている人をスルーするのは飛沫感染対策として意味がない。迷惑な客を弾くためにマスクがないと入店拒否にしているとかいう人がいるが、店で迷惑な行為をするやつ=入店するときにマスクをしてないというのは偏見でしかない。マスクをしてなくても一言もしゃべらず目的の商品を買ってすぐに帰るような客もいる。マスクをしていても知人と長話して店内にとどまり続けたり商品にベタベタ触りまくったりする客もいる。


要は一人ひとりの意識の違いが大きい。マスクをつけてなくてもしゃべったり咳をしたりするときだけ口を覆う、ソーシャルディスタンスを保つ、アルコール消毒をするなどの行動ができていたらいいのではないか。一人ひとりの意識が高くなってマスク至上主義の考え方が見直され、マスクをつけないと入店拒否の店が少なくなっていくことを願う。