無意識のうちにサバを読んでいた話

ある日の出来事である。急に電話で年齢を聞かれて実年齢より2歳若い年を言ってしまった。


なぜサバを読んでしまったのか。別に電話の相手に見栄をはりたかったわけではない。電話の相手は勤め先の総務部の職員である。その人に若く見られたからといってなんの得もない。それに入社したときの履歴書を確認されれば虚偽の申告をしたことが一瞬でばれる。


受話器をおいた後すぐに生年月日から年齢を計算して、しまったと思った。つまり意図的に年齢を若く言ったというより自分の年齢をちゃんと認識してなかったというほうが正しい。


年を現在の年齢−2で認識していたということは、年齢のカウントが2年前で止まっていたということ。毎年ケーキが食べられたりプレゼントがもらえていた子どものころとは違い、社会人になると誕生日をあまり意識しなくなった。ここ2年間は誕生日を完全にスルーして、年齢をカウントしていなかったため2つ若い年齢を言ってしまったようだ。


それならサバを読んだことにはならないのか?と思って調べてみると、やっぱり自分はサバを読んでいたようだ。「サバを読む」という言葉は近ごろは年齢をごまかすという意味で使われているが、元々はいい加減に数を数えるという意味で使われていた。


「サバを読む」という言葉は江戸時代ごろから使われ始めたそうだ。サバは魚のサバのことである。サバは痛みやすい魚であるため、昔の魚市場の人は鮮度が落ちないように急いで数を数えたり目分量でおおよその数を出したりしていた。


そのことから、いい加減に数を数えることをサバを読むと言うようなった。それが時とともに自己申告した適当な数を言うこと→自分に都合のいい数を言うこと、と意味が変化していったのだ。そして現代では自分の年齢をごまかして若く言うことをサバを読むと言う。


自分も誕生日を意識せず年齢をいい加減に数える=サバを読んだからこそ、今回のような悲劇がおこった。さすがに今回の出来事はショックだったので、せめて定年退職するまではちゃんと自分の年齢を数えていこうと思った。