なぜか今でも覚えている「自殺者リサイクル法」

世にも奇妙な物語にはたまにめちゃくちゃ印象に残る話がある。そんな話の中でも特に記憶に残っているのが「自殺者リサイクル法」だ。2009年に放送されたものをリアルタイムで一回見ただけなのに、10年以上たった今でもストーリーもオチもしっかり説明できる。


くだらない理由で自殺した人たちを集めてその命を有効活用する法律ができた。

半数は臓器提供をする。

新薬の実験でもだえ苦しむ周りの自殺者たち。

バスジャックの人質の身代わりになった自殺者の命を気にすることなく撃ちまくる警察たち。

殺人ウイルスがばらまかれた部屋の中で防護服を着て爆弾解除、主人公をかばって死ぬおじさん。

だんだんと生きたいという気持ちが強くなり屋上に逃げ出した主人公がつまずいて落下し冒頭と同じようにネットで回収される。

主人公が俺は生きたいんだーと叫ぶラスト。


これだけ記憶に残ったのはやはり怖かったからだろう。軽く転んだだけで穴があく脆すぎる防護服がトラウマ。自分が自殺しようとして人権を完全無視した扱いをされることを想像したら、ビビって自殺できなくなる。今冷静に考えるとツッコミどころが多いのだが。


自殺するくだらない理由ってどんな理由があてはまるのかとか、自殺する直前の人をタイミングよく回収するのって難しすぎるとか。主人公は300万円の借金を理由に飛び降りしたところをネットで回収されていたが、スタッフはずっと張り込みでもしていたのだろうか。自殺者をリサイクルするためにかかる費用のほうが死体を処理する費用よりも高くなりそうな気がする。


こんなめちゃくちゃな制度が現実になることはないだろうが、自殺は良くないことだという意識を持たせるのはいいと思う。自殺しようとする人の中には健康問題などどうしようもない苦しみに耐えられないからという人もいるが、そうではない人もいる。そのような人たちがこれを見ることでビビって自殺を思いとどまってくれたらいいなと思う。近年は日本の自殺者数がだんだんと減ってきているが、2019年のデータではまだ1年間で2万人以上いる。少しでも自殺者が減ることを願う。