大学生活の思い出

自分が大学に行った理由は周りの人がみんな行くからなんとなくというものだった。行った大学もセンター試験の結果が予想より悪かったため、もともと目指していたところでもない。しんどいこともたくさんあったし、大学で学んだことは今やっている仕事と全く関係ないし。だが行ってよかったと思う。そんな4年間の大学生活について振り返ってみる。


まず大学の授業について。1回生のときは主に一般教養を学ぶ。一般教養は学部に関係なく好きな講座を選べるのだが、席には限りがあるため人気のある講座は抽選になる。自分は前期後期合わせて4つの抽選に参加したがすべて落選。仕方なく余っている講座を選んだ。その講座は講義だけでなく海外の学生と交流する課外活動もしなければ単位が取れないというめんどうくさいものだった。コミュ障なのでいやいや参加していたが、そのつながりで10万円ちょっとでタイに3週間行けたのはよかった。


2回生からは主に専門科目を学ぶ。専門科目は学部によって受講しなければならない講座が決まっている。講座を選べないので朝一の講座を避けられず、一人暮らしで目覚まし時計がならなかったときに寝坊してサボったことが3回くらいある。後悔はしていない。全体の3分の2以上出席していれば単位は取れるし、なにより講義がおもしろくなかったからだ。


ほとんどの講義がプリントや教科書に沿って進められ( )を埋めたりラインを引いたりするだけ。文字で書かれている以上の情報は何も入ってこない。授業料が5分の1くらいの高校の授業のほうがレベルが高かった気がする。なかには教科書を読み上げるだけという教授も。しかも講義をまじめに聞いたからと言って、その内容が試験にでるわけでもない。試験対策で役に立ったのは先輩からもらった過去問だけ。そういう講義では別のことをするか寝ていたほうがいい。産婦人科の先生の講座は、病院での体験談を交えながら絵を書きいろんな病気について教えてくれたのでとてもよかった。


次は部活動について。入学オリエンテーションのときに舞台の上で部ごとに活動紹介があり、会場を出ると勧誘する人たちに囲まれる。大学ってすごいと思ったことの1つ。興味のある部活についていくと無料でおかしやジュースを食べさせてくれ、今度イベントに来てと誘われる。無料でボーリング大会に連れて行ってもらいチームでそこそこいい成績を出したので景品ももらった。弓道部と合気道部で迷っていたが、弓道部はめちゃくちゃ人気で既に20人以上入部しておりお断りムードがあったので合気道部に決めた。


部活動は週3日、休むときは連絡しなくてOK。このゆるさが中学生・高校生のとき毎日の部活動にうんざりしていた自分にはちょうどよかった。大会は年1回でそれに向けて練習はするが、3つの大学しか集まらないので最下位でも3位。大会前より昇給・昇段試験前のほうがよっぽど必死に練習していた。合宿は年2回夏と春にある。県外の体育館を借りて2泊3日で練習し観光もする合宿は楽しかったが、大阪本部道場で早朝から日が落ちるまで複数の師範の教えを受けて練習する合宿は地獄だった。本部道場は街中にあってガラス張りで大きな通りに面しているため、通行人の視線も気になった。


次は実習について。単位を取るために1回生で3日、2回生で2週間、3回生で半年の病院実習に参加しなければならなかった。そして4回生では1ヶ月半の地域実習があり、教員免許をとる人はさらに3週間の学校実習に参加する。


病院実習は精神的にかなり地獄だった。医療従事者からは明らかに邪魔者扱いされるし、特にやることもないのに一日中病棟の中で立ってないといけないし。ぼーっとしていても怒られるので、誰かの後についていってひたすらメモをとる。気さくに話してくれる患者がいれば時間が早く過ぎるのだが、そうでなければ暇をもてあましていた。そして家に帰れば次の日までに仕上げる必要のある大量のレポートが待っている。


それと比べると県庁や市役所に行く地域実習は天国だった。病院と比べて仕事に余裕があるためか、疑問に思ったことを聞けばなんでも丁寧に答えてくれる。県庁では担当の人がスライドを使って説明までしてくれた。ただ話が単調でおもしろくないため睡魔と必死に戦いながら聞いていたが。机と椅子のある実習生用の部屋があったのもうれしかった。休憩時間にある程度レポートをすすめることができたため、家に帰ってからレポートに追われることもなかった。


自分は教員免許をとるために学校実習にも参加した。学校実習は指示された場所にグループで行く病院実習や地域実習と異なり、自分で実習先を選んで一人で行かなければならない。とりあえず小学校が楽しそうだという理由で、地元の小学校に電話をかけ実習の承諾を得る。そこで偶然にも小学生のときの同級生に再会した。だが指導してくれる先生は別々だったので、実習中は結局一人。模擬授業をしたり休み時間にドッジボールをしたり、ちょっと若返った気分になれる実習だった。


 
最後は卒業論文について。大学といえば研究して論文を書くというイメージがある。単位をとるために4回生で卒業論文を作成しなければならなかった。テーマは自由。1人でやっても3人以内のグループでやってもいい。自分ははじめ1人でやろうかと思ってたら3人グループとテーマがかぶったため、別のテーマを考えることに。他にやりたいテーマが思いつかなかったので、2人グループになりもう一人のやりたいテーマで論文を書くことにした。


テーマはある講座を受けることの効果について。研究方法はいろいろある。はじめはその講座を受講した人や講師にインタビューしようかと思っていたが、都合のいい人が見つからなかったため文献検討をすることになった。文献検討とは過去に似たような研究をした論文を集めて、キーワードを拾い出しまとめること。30本以上の論文を読んで一つ一つの内容を整理しまとめる作業はなかなか骨が折れた。そのかいあって研究発表会の日は練習もしてないのに論文についてすらすらと説明することができた。講座を受けた人で意識が変わる人は多いが行動が変わる人は少ないので、行動も変わるようにフォローすることが今後の課題であるというように。


以上、大学生活の振り返りである。大学に行ってよかったと思うのは、大学に行かないとやりにくいことをたくさん経験できたからだろう。金がかなりかかるのに大学に行かせてくれた両親には感謝している。