種子法廃止と種苗法改正ってやばくね

2018年に減反廃止と種子法廃止、2020年に種苗法改正がいつのまにか決まっていたことを最近知った。それもそのはず、テレビではコロナやオリンピックの報道ばかりされており、全くこのことに関するニュースが取り上げられてなかったからだ。


減反とは米の過剰生産による価格低下を防ぐために生産量を抑える政策のことである。米の価格を高く維持することで農家の収入を安定させるために始まったとか。だが米が高いと消費者は米を食べなくなる。すると米の需要が減り農家はさらに生産量を減らさなければならなくなる。結果、日本の米農家は減っていく一方だったので減反廃止はよかったと思う。


種子法廃止は今まで公共機関が行ってきた米、麦、大豆の種子作りを民間企業に任せるというもの。政府の言い分としては種子の開発を民間に任せることで国際競争力を高めるためだとか。だが種子を任せる対象には日本の企業だけでなく、海外の企業も含まれている。そして都道府県が今まで作ってきた種子を企業に明けわたすことを法律で定めている。


これは海外の大手種子メーカーに日本の種子を無料で提供することになってしまわないのだろうか。提供する企業を日本国内に限定しているのなら日本の企業の成長を助けることになるからまだいい気がするが。海外の企業の手に日本の種子がわたってしまったら、日本はますます国際競争力を失うような気がする。


そもそも種子づくりを日本の民間企業に完全に任せてしまうのもあまり賛成できない。価格が高くなったり種類が少なくなったりする可能性が高いからだ。今までは税金を使っていたから儲けを気にすることなく安くてさまざまな種類の種子が作られていた。だが民間だと利益をあげないといけないので種子の価格が上乗せされるだろう。さらにあまり利益の多くない種子を作り続けることは会社にとって負担なので、種類も少なくなっていくのではないか。


種苗法改正では日本のブランド品種の海外流出を防ぐため、農家の自家採種を原則禁止した。自家採種とは育てた野菜や果物からとれた種を使うことである。自家採種できなければ農家は作物を植えるたびに種子メーカーから種苗を購入しなければならない。ただでさえ経営状態の苦しい農家が多いのに、出費が増えればますます農家は減ってしまうのではないか。


そもそも日本のブランド品種の海外流出を防ぐためには、海外での品種登録と刑事告訴をするしかないと言っていたはず。それがなぜ日本の農家の自家採種を原則禁止するということになったのか。つながりが見えない。農家が自家採種したことで海外へ種が流出した事例があったと農林水産省は言っているが、どういう経緯でそういうことになったのか具体的に教えてほしい。そもそも自家採種を禁止したところで手に入れた種をポケットに入れて日本から海外に持って帰ることを防ぐことはできないんだから、流出の可能性があるというだけで日本の農家を法律で縛るのはいかがなものか。


海外では政府が自家採種禁止したことへの反対運動がニュースになっていたりしたのに、日本ではほとんど話題になることのないまま法案が通された。これが本当に日本国民のためになるのならコソコソする必要はないはずである。あまり議論が交わされることもなく可決されたという点でも怪しさ満点である。種子法廃止には反論に対する付帯決議があるが、付帯決議に法的拘束力はないし、~よう努めること。と書かれているだけである。これでは単に口でがんばりますとだけ言っているのと同じことではないだろうか。


いまだに選挙活動をネットですることを厳しく規制したり夫婦別姓を認めていなかったりと保守的な政府が、今回だけ世界の最近における農業をめぐる状況の変化に鑑みてという理由でさっさと法律を変えてしまったのもなんだか怪しい。というか自家採種を禁止することは世界の流れに逆行している気がするのだが。


なぜこんなことが起こっているかというとTPPが関係しているらしい。TPPは加盟している国どうしが貿易をしやすいようにいろんな取り決めをしている。それは貿易の関税をかけないようにするぐらいのものだと思っていたが、各国の民間企業の条件を同じようにするために圧力をかけて加盟国の法律を変える力があるらしい。政府は圧力ではないと否定していたが、圧力でないならメリットをしっかり示してほしい。TPPは遺伝子組み換えでないと表記することもさせないようにしているらしいと聞いて、TPPを脱退したほうがよいのではないかと思っている。


食料に関してはいざというときのために日本人全員を養えるくらいの食料を日本国内で作れるようにしておいたほうがいい。海外からは軍事侵攻や感染症の流行によって輸入できなくなる可能性があるからだ。日本は周りを海で囲まれており船か飛行機でしか輸入できないんだから、国内のものを食べたほうが新鮮でおいしいはず。国内産なら輸入コストもかからないぶん食料そのものにお金をかけることができる。食料の源である種子や種苗は日本国民の食糧確保に不可欠なので、日本で守り育てていってほしいと思う。